不時(読み)ふじ

精選版 日本国語大辞典 「不時」の意味・読み・例文・類語

ふ‐じ【不時】

〘名〙
① (形動) 予定以外の時季・時刻であること。思いがけない時であること。また、そのさま。臨時
※御湯殿上日記‐文明一〇年(1478)九月二日「御たるしんしゃうすへきに、ふしなるやとにてとて、をりかみもちてまいらるる」 〔詩経大雅・文王〕
② (形動) 予想もしていなかった災難などに突然みまわれるさま。また、その災難など。凶事。
浄瑠璃・甲賀三郎窟物語(1735)二「今度のやうな悪事災難、不時(フジ)な目に遭ふまい為」
③ その時期でないもの。季節はずれのもの。〔漢書‐循吏伝・召信臣〕
人為によって発生する米相場の高下。転じて、相場に関すること。
洒落本・浪花花街今今八卦(1784)「きのふの雨で立がねがのびたのと、色々の不時(フジ)いふもをかし」
南方録(17C後)会「十月五日 夕 不時」

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デジタル大辞泉 「不時」の意味・読み・例文・類語

ふ‐じ【不時】

[名・形動]予定外の時であること。思いがけない時であること。また、そのさま。「不時災厄に備える」
「新鮮な風が―に吹き込んで来たような」〈寅彦蓄音機
[類語]臨時随時不定期折に触れて当座時には時として往往たまたまたまさか時時ときどき時折折折時たま間間折節散発間欠周期的とかく時にたまややもすればともすると得てしてなにかにつけ何かと言えば

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普及版 字通 「不時」の読み・字形・画数・意味

【不時】ふじ

時ならぬ。時期はずれ。〔論語郷党〕時ならざればらはず。(さ)くこと正しからざればらはず。其のを得ざればらはず。

字通「不」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の不時の言及

【茶事】より

…今日ではほとんど行われない。(6)不時 臨時の会,予約されていない,という場合と,食事の時刻をはずすという2通りの解釈がある。(7)口切 11月にその年の新茶を詰めてある茶壺の封を切って,その場で石臼でひいて供する。…

※「不時」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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