ピラン
ピラン
pyran
C5H6O(82.10).2個の二重結合と1個のO原子を含む複素六員環式化合物.α-ピラン(2H-ピラン)とγ-ピラン(4H-ピラン)の2種類が考えられるが,ピラン環そのものは安定ではない.前者はまだ得られていないが,プロパルギルアルデヒド3分子が縮合した2-エチニル-4,6-ホルミル体が知られている.後者は,2-アセトキシ-2,3-ジヒドロピランの熱分解や2,6-ジクロロテトラヒドロピランの脱塩化水素で得られる.
無色の液体.沸点80 ℃.
1.4559.空気中では室温ですみやかに分解する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
ピラン
ぴらん
pyran
C5H6Oの分子式で表される酸素を環内にもつ6員環状複素環式化合物。α(アルファ)-ピランとγ(ガンマ)-ピランの2種類の異性体が可能であるが、どちらも常温では不安定で合成できない。母体の無置換ピランは不安定であるが、2-メチル-α-ピランC5H5O(CH3)などの置換されたピラン環をもつ誘導体は安定に存在する(図)。
[廣田 穰 2015年7月21日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
デジタル大辞泉
「ピラン」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ピラン【pyrane】
酸素原子1個と二重結合2個,メチレン基-CH2-1個でつくられた6員環の一般名。α‐ピラン(2H‐ピラン),γ‐ピラン(4H‐ピラン)の2種の構造異性体がある。
一群の化合物の基体と考えられているが,これら自身はまだ単離されていない。メチレン基をカルボニル基
C=Oで置換したピロン,ピランから水素原子1個がとれてオキソニウムイオンになったピリリウムpyryliumも重要な化合物群の基体となる。
ピリリウムは一種の芳香族化合物で安定である。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報