ピロン

化学辞典 第2版 「ピロン」の解説

ピロン
ピロン
pyrone

C5H4O2(96.09).ピラノンともいう.α-ピロンとγ-ピロンの2種類が存在する.】α-ピロン(2-ピロン):クマリン酸の水銀塩を加熱脱炭酸してつくる.融点5 ℃,沸点206~209 ℃.1.200.1.5277.水に可溶.アルカリ存在下では容易に開環して,ホルミルクロトン酸となる.【】γ-ピロン(4-ピロン):コマン酸(4-ピロン-2-カルボン酸)またはケリドン酸の乾留により得られる.無色の結晶.融点32.5 ℃,沸点215 ℃.吸湿性で,水,エーテル,クロロホルム酢酸に易溶,石油エーテル,二硫化炭素に難溶.アルカリで黄色を呈し,加熱するとギ酸とアセトンに分解する.両化合物はアンモニア,第一級アミンの作用でピリドンを与える.また,ハロゲン化,ニトロ化などでは,付加反応よりも置換反応が起こる.γ-ピロンのカルボニル基は,ヒドラジンヒドロキシルアミンとは反応しない.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピロン」の意味・わかりやすい解説

ピロン

(1) pyrrone α,α'-ジピリルケトン。臭化ピリールマグネシウムにホスゲンを作用すると生成する。融点 160~161℃の無色柱状晶。(2) pyrone (a) α体 クマリンともいう。クマリン酸水銀を乾留すると生成する。沸点 206~209℃の無色の液体。(b) γ体 α-ピロンの異性体で,ピロコマンともいう。コマン酸またはケリドン酸の乾留により生成する。吸湿性,無色の結晶。融点 32.5℃。

ピロン
Pilon, Germain

[生]1535. パリ
[没]1590.2.3. パリ
フランスの 16世紀後半の彫刻家。彫刻を父アンドレに学んだ。初期の作品にはアンリ2世の記念碑の『三美神』 (1561頃,ルーブル美術館) ,後期の作品にサン・ドニ修道院聖堂の『アンリ2世とカトリーヌ・ド・メディシス』 (1563~70) の墓碑彫刻がある。

ピロン
Piron, Alexis

[生]1689
[没]1773
フランスの詩人劇作家喜劇『道化師ドゥカリヨン』 Arlequin Deucalion (1722) ,『作詩狂』 La Métromanie (38) で知られる。

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百科事典マイペディア 「ピロン」の意味・わかりやすい解説

ピロン

フランスの盛期ルネサンスの代表的彫刻家。パリ生れ。アンリ2世とカトリーヌ・ド・メディシス宮廷に仕え,王や女王のために肖像や墓廟の彫刻を制作。《死せるキリスト》(1560年ころ,ルーブル美術館蔵)など宗教的作品も手がけた。

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世界大百科事典 第2版 「ピロン」の意味・わかりやすい解説

ピロン【pyrone】

ピランのメチレン基-CH2-をカルボニル基C=Oで置換した複素環式化合物。カルボニル基の位置によってα‐ピロンとγ‐ピロンの2種の構造異性体がある。α‐ピロンはクマリンcoumalinともいい,一種のラクトンである。融点5℃,沸点206~207℃。これにベンゼン環が縮合したベンゾ‐α‐ピロンはクマリンcoumarinといい,植物界に広く存在している。γ‐ピロンは,水,エチルアルコールに溶けやすい吸湿性結晶で,融点32℃,沸点119℃(35mmHg)。

ピロン【Germain Pilon】

1525ころ‐90
フランス・ルネサンスの彫刻家。父に彫刻の手ほどきをうける。初期の作品は残らないが,アネ城やフォンテンブロー宮殿などの造営に参加したとも推定されている。1558年にはフィリベール・ド・ロルムの監督下にサン・ドニ修道院教会に作られた〈フランソア1世の墓〉のための彫像について支払をうけているが,現存しない。59年アンリ2世の死にあたって,王妃カトリーヌ・ド・メディシスの命によってプリマティッチョがデザインした〈アンリ2世の心臓の記念碑〉のために,頭上に心臓容器をささげもつ三美神(もしくは三対神徳)像を制作(1561‐62)。

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デジタル大辞泉 「ピロン」の意味・読み・例文・類語

ピロン(〈ギリシャ〉pylōn)

パイロン1

ピロン(Pyrrhōn)

ピュロン

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精選版 日本国語大辞典 「ピロン」の意味・読み・例文・類語

ピロン

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