ピリリウム

化学辞典 第2版 「ピリリウム」の解説

ピリリウム
ピリリウム
pyrylium

pyranylium.C5H5O(81.09).ピラン環をもつオキソニウム型の一価のカチオンたとえば,ヨウ素塩C5H5IO(207.99)は黄色の結晶.分解点130 ℃.π電子系の安定な共鳴構造をもつカチオンで,紫外吸収はピリジニウム塩に類似し,NMRスペクトルでは低磁場(8.5~9.6δ)に環プロトンのシグナルを示す.ベンゼン環と異なり,求電子置換反応は受けず,求核置換でo,p-誘導体を与える.2,6-ジ置換誘導体はアンモニアや第一級アミンと反応してピリジンN-アルキルピリジニウム化合物を与え,アルカリによりcis-2-エン-1,5-ジオン誘導体に開環する.また,ニトロメタンを反応させると,2,6-ジ置換ニトロベンゼンになる.アリール置換誘導は一般に着色しており蛍光を示すが,アントシアンのように,ピリリウム塩構造をもつ多くの化合物が天然に色素として存在している.[CAS 289-67-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のピリリウムの言及

【ピラン】より

一群の化合物の基体と考えられているが,これら自身はまだ単離されていない。メチレン基をカルボニル基C=Oで置換したピロン,ピランから水素原子1個がとれてオキソニウムイオンになったピリリウムpyryliumも重要な化合物群の基体となる。ピリリウムは一種の芳香族化合物で安定である。…

※「ピリリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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