カポック(英語表記)kapok
Ceiba pentandra(L.)Gaertn.

デジタル大辞泉 「カポック」の意味・読み・例文・類語

カポック(kapok)

パンヤ1
シェフレラ

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精選版 日本国語大辞典 「カポック」の意味・読み・例文・類語

カポック

〘名〙 (kapok 元来はマライ語) パンヤ科の落葉高木。東南アジアの熱帯地方に産する。高さ一〇メートルに達し、枝は水平に出て輪生し、全体が横木のたくさんついた電信柱のように見える。葉は長楕円形をした七~九の小葉に分かれた掌状複葉となる。花は肉質の乳白色で、五枚の花びらをもつ。果実両端がとがった長さ約一二センチメートル、太さ約五センチメートルの長楕円形で、熟して乾くと五裂し、中から多量の綿毛でおおわれた種子を吐き出す。この綿毛を集めたものを蒲団、枕、クッションなどの詰め物に利用する。パンヤ。ほんパンヤのき。しろきわた。インドわたのき。吉貝。古貝。劫貝。劫波育。婆劫。迦羅婆劫。〔カポク繊維(1943)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「カポック」の意味・わかりやすい解説

カポック
kapok
Ceiba pentandra(L.)Gaertn.

キワタ科の高木で,高さ20m,またはそれ以上になる。基部は板状にはり出す板根に支えられ,枝は直立する幹から水平に輪生して,電信柱のような樹形をつくる。葉は掌状で5~8片に分かれ,果実が成熟するころ短期間落葉する。葉腋(ようえき)から数本の花梗を出し,乳白色の花を1個ずつつける。果実は長楕円形で長さ10~13cm,枝からぶら下がる。内部は5室に分かれ,長毛に包まれた100~150個の種子があり,熟すと割れて,カポック(別名パンヤ)と呼ばれる繊維を露出する。原産地は未確定。カポックとはマレー語で繊維のことで,この種子を包む毛を充てん料にする。アレクサンドロス大王の時代すでにクッションの詰物として珍重したという。繊維は長く光沢があり,耐久力強く弾力に富む。比重が小さく水を通さないため,特に水中救命具の詰物に賞用される。また毒性物質を含むので,害虫の食害を受けにくい。材,葉,樹皮,果実もさまざまに利用され,若芽は野菜とされる。またコーヒーやカカオの庇蔭(ひいん)樹,コショウバニラの支柱用にする。第2次世界大戦前はジャワスマトラが大産地であったが,戦後は激減し,インドネシア,カンボジア,フィリピンなどで数千tほど生産されている。なお,近縁のインドワタノキ(キワタともいう)Bombax malabaricum DC.としばしば混同される。また近年,日本でホンコンカポックまたは単にカポックと称して観葉植物が市販されているが,これはウコギ科のSchefflera octophyllaなどで別物である。
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百科事典マイペディア 「カポック」の意味・わかりやすい解説

カポック

熱帯アメリカ原産とされ,熱帯アジアなどで広く栽培されるキワタ科の落葉高木。高さ30mに達し,水平に開出する枝を生じ電柱のように見える。果実は枝にたれ下がる。種子に生じる長い毛はカポックまたはパンヤとよばれ,浮力が大で,断熱性,弾力性に富むので救命胴衣やクッションなどの詰物にされる。なお,園芸的にはウコギ科のホンコンカポックを略して呼ぶこともある(シェフレラ)。
→関連項目救命いかだ(筏)救命胴衣植物繊維綿

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カポック」の意味・わかりやすい解説

カポック

パンヤノキ」のページをご覧ください。

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