離(漢字)

普及版 字通 「離(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 19画

[字音]
[字訓] かかる・はなす・はなれる・うぐいす

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(り)。〔説文〕四上に「離倉庚(さうかう)なり。鳴くときは則ち生ず」(段注本)とあり、朝鮮うぐいすをいう。〔詩、風、七月〕「春日載(すなは)ち陽(あたた)かなり 鳴ける倉庚り」の〔伝〕に「倉庚は離なり」とあり、黄(こうり)ともいう。〔大戴礼記、夏小正〕に「二、~鳴ける倉庚り。三、~妾・子始めて(さん)す」とあり、養蚕のはじまるときであった。離は字形からいえば隹(とり)が黐(とりもち)にかかる意。〔楚辞離騒〕は「騷(・憂え)に離(あ)ふ」の意である。これを離去しようとするので、離去・離別の意となり、「かかる」意にはのち多く罹を用いる。うぐいすの意には、がその本字である。

[訓義]
1. かかる、とりがとりもちにかかる。
2. はなす、はなれる、わかれる、そむく、さる。
3. 麗(り)と通じ、つく、つらなる、ならぶ、わたる。
4. 羅と通じ、あみ。
5. 罹(り)と通じ、うれえ。
6. と通じ、ちょうせんうぐいす。
7. (さい)と通じ、あきらか。

[古辞書の訓]
名義抄〕離 ハナル・サル・カタタガヒ・ヒラク・ワカル・チル・ミナミ・ハナツ・カカル・ツラヌ・ツラナル・アフ・カフ・ツク/離々 ツラナル/支離 ソソケタリ・アツシ・ミツ・ワサス 〔字鏡集〕離 ツク・ツラナル・チル・ワカレ・カカル・ミナミ・ノブ・ヒラク・ハナツ・カタタガヒ・ウルハシ・カフ・ハナル・アフ・カギル・ツラヌ・アミ・ヒバリ・コトハル・アキラカ・フタツ・サル・フサナル

[語系]
離liai、麗・儷lyaiは声近く、通用義が多い。兩(両)liangも並ぶものをいう。離はおとりを使って黐で鳥を捕る方法であるから、これらは同系の語である。

[熟語]
離異・離違・離・離宴・離遠・離歌・離開・離懐離隔・離間離跂離棄・離居・離去・離襟・離群離訣・離垢離合・離恨・離魂・離坐離索離散・離思・離弐・離・離酌・離酒離聚離愁・離情・離人・離塵・離世・離声離析・離絶・離俗離逖・離杯・離背・離判・離・離畔・離披離靡・離別・離夢離尤離憂・離落・離剌・離離・離立離婁
[下接語]
違離・遠離・厭離・乖離・解離・隔離・羈離・久離・距離・離・合離・散離・支離・侏離・出離・遭離・剝離・披離・不離・分離・別離遊離・乱離・陸離・流離・淋離

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android