長瀞(山形県)(読み)ながとろ

百科事典マイペディア 「長瀞(山形県)」の意味・わかりやすい解説

長瀞(山形県)【ながとろ】

山形県東根(ひがしね)市の西部にある地名山形盆地北方最上川支流白水(しろみず)川の右岸を占める。肥沃土地柄で,古代の末期から中世にかけて摂関家渡領小田島(おだしま)庄の中心地であったとされる。15世紀には出羽(でわ)の有力氏族最上氏の4代満家が城を築いて隠栖したという。近世になると幕府の陣屋が置かれたが,1723年幕府の質地流地禁止令が公布された際,この法令発布を徳政令発布と誤解した農民たちが質取主の家々に押しかけ,質地証文を破棄させる騒動が起こっている(長瀞質地騒動)。1798年,無城格・定府の大名米津(よねきつ)氏領となる。同氏は所領の過半を長瀞とその周辺に有していたため,長瀞に陣屋を置いて支配した。これを長瀞藩ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「長瀞(山形県)」の意味・わかりやすい解説

長瀞(山形県)
ながとろ

山形県中東部、東根市(ひがしねし)の一地区。旧長瀞村。山形盆地北部の低湿地にあったことに由来する地名。中世初期の築城という長瀞城跡があり、最上(もがみ)氏などの居城であったが、1798年(寛政10)以降米津(よねきつ)氏長瀞藩の陣屋が置かれた。四の丸まであったという平城の堀が残っている。五穀豊穣を祈願する伝統芸能の長瀞猪子踊が伝わる。

中川 重]

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