那岐山（読み）ナギサン

デジタル大辞泉

なぎ‐さん【那岐山】

岡山県・鳥取県の県境にある山。中国山地の主峰の一。標高1255メートル。津山盆地北部に位置する。山頂からは、北は日本海・大山だいせん・鳥取砂丘、南は瀬戸内海が眺望できる。南東麓にある菩提寺は、比叡ひえい山に登るまでの4年間法然上人が修行した寺。古来から信仰の対象となっており、山名の由来は伊弉諾尊いざなぎのみことにちなむといわれる。

出典　小学館

日本歴史地名大系

那岐山
なぎさん

• 鳥取県：八頭郡
• 智頭町
• 那岐山

智頭町と岡山県奈義（なぎ）町との境にそびえ、標高一二四〇・三メートル。氷（ひよう）ノ山後山那岐山（せんうしろやまなぎさん）国定公園に含まれる。鳥取県側からはナギノセンともよび、岡山県側では西方に連なる滝（たき）山（一一九六・五メートル）・広戸仙（ひろどせん）（一〇七五・五メートル）・山形仙（やまがたせん）（七九一・一メートル）を含め横仙（よこせん）という。鳥取県側は同程度の高さの山並が続くが、岡山県側は比較的浸食度の小さい斜面が日本（にほん）原に続き、夏から秋にかけて斜面を吹下りる風は局地的な強風「広戸風」となる。

那岐山
なぎさん

• 岡山県：勝田郡
• 奈義町
• 高円村
• 那岐山

鳥取県境にそびえ、標高一二四〇・三メートル。西方に連なる滝（たき）山（一一九六・五メートル）・広戸仙（ひろどせん）（爪ヶ城、一〇七五・五メートル）・山形仙（やまがたせん）（七九一・一メートル）を含め、横仙（よこせん）という。横仙の南麓は扇状地を形成し村落が散在する。八―一〇月頃横仙から局地的な強風の広戸風が吹き、農作物に被害が出る。麓の民家は屋敷北側に防風用の木背（こせ）を植えている。「太平記」巻一六（西国蜂起官軍進発事）によれば、建武（一三三四―三八）頃美作国では菅家・江見・広戸氏らが「奈義能山（なぎのせ）・菩提寺ノ城」を築き、国中を支配していたという。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

改訂新版　世界大百科事典

那岐山 (なぎさん)

岡山県勝田郡奈義（なぎ）町と鳥取県八頭（やず）郡智頭（ちず）町の境にある山。〈なぎせん〉とも呼ぶ。氷ノ山（ひようのせん）後山那岐山国定公園に属する。標高1255mで，中国山地の他の山頂と同じく，頂上に高位浸食平たん面の遺物を残す。南の津山盆地側は那岐山断層崖で急落し，その下に第四紀更新世に形成された広大な日本原の台地が広がる。頂上付近にブナ林，タニウツギ，レンゲツツジなどの高山性低木が茂り，中腹のシャクナゲの大群落も美しい。南東部山麓に法然の修行地として知られる菩提寺がある。なお，台風が四国沖を通過するとき，この山地を越えて瞬間風速60mもの北西風が吹きおろし，作物に大被害を与えることがあり，この局地風を広戸風と呼ぶ。
執筆者：藤原 健蔵

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

日本大百科全書(ニッポニカ)

那岐山
なぎさん

岡山県勝田郡奈義(なぎ)町と鳥取県八頭(やず)郡智頭(ちず)町の境にある山。中国山地の主峰の一つで、標高1255メートル。古生層、流紋岩、安山岩からなる。津山盆地の北部にあり、氷ノ山後山(ひょうのせんうしろやま)那岐山国定公園の一部。中腹には蛇淵の滝、滝山の滝などがあり、シャクナゲの群落のほか、アセビ、ベニドウダンなどがみられる。登山コースはJR津山線津山駅から高円(こうえん)までバス、そこから約3時間30分の行程である。

［由比浜省吾］

[参照項目] | 氷ノ山後山那岐山国定公園

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

那岐山
なぎさん

中国山地の東部，岡山県奈義町と鳥取県智頭町との境にある山。標高 1240m。山体はおもに花崗岩から成り，南側は那岐山断層崖で，急傾斜となって津山盆地に面する。崖下は広大な扇状地性の日本原が展開。南麓の菩提寺は法然上人が幼時育てられたところで，天然記念物の大イチョウがある。氷ノ山後山那岐山国定公園に属する。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

事典・日本の観光資源

那岐山

(岡山県勝田郡奈義町)
「おかやまの自然百選」指定の観光名所。

出典　日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」