道服(読み)ドウブク

デジタル大辞泉 「道服」の意味・読み・例文・類語

どう‐ぶく〔ダウ‐〕【道服】

《「どうふく」とも》
道士の着る服。道衣
公卿大納言以上の人が家庭で内々に着た上衣。袖が広く腰から下にひだがあり、着物の上に羽織る。のち、道中着となり、さらに変化して今の羽織となった。
袈裟けさのこと。真宗で、直綴じきとつのこと。

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精選版 日本国語大辞典 「道服」の意味・読み・例文・類語

どう‐ふく ダウ‥【道服】

〘名〙 (「どうぶく」とも)
① 道家の人の着る衣服。〔遵生八牋‐起居安楽牋・遊具
公家堂上が普段着として着用した上衣。袖がひろく、裾にひだを設けた羽織に類するもの。
塵袋(1264‐88頃)八「雨ふらぬ時も乗馬する時は上にうちきて、おひもせぬものあり。其をば道服と云ふとかや」
袈裟のこと。また真宗では直綴(じきとつ)に似た略衣をいい、直綴そのものをさすこともある。
続日本紀‐養老元年(717)四月壬辰「恣任其情、剪髪髠鬂、輙着道服、貌似桑門、情挟姧盗

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改訂新版 世界大百科事典 「道服」の意味・わかりやすい解説

道服 (どうふく)

道衣ともいい,本来,中国の道教の道士が着る衣服であった。袖幅が広く和服のように衿を交互に重ねあわせ帯で結んだ。麻布または葛布で作られ,その色は白を最上とし,衿,袖口,裾に黒い縁どりをつけた。茶褐色や紫の道服もあったが,明代の道服は青と定められた。形は深衣しんい)式に作られたゆるやかな袍服(ほうふく)で,南朝の士大夫の間でも流行し,宋・元・明の文人墨客にも親しまれた衣服であった。道服はまた僧衣別名とされたこともある。さらに日本では,室町時代に貴人が微行するときにこれを用い,後には一般庶民の道中着ともなった。しかし,日本の道服は胴服とも記されるように,羽織のように打ちかけて着用するもので,中国本来の道服とは異なっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「道服」の意味・わかりやすい解説

道服
どうふく

胴服とも書く。室町時代から江戸時代初期にかけて、上流武士の間で羽織のように羽織って着用されたもの。また『七十一番職人尽(づくし)』には草履(ぞうり)売りが、羽織的な形態の道服を着ているし、実物としては上杉謙信(けんしん)着用のものが現存するが、形は小袖(こそで)仕立てで裏の衽(おくみ)のところに乳(ち)がついているので、今日の羽織のように衿(えり)を表側に折って着用するものではなかった。

 のち道服は装飾化され、戦国武将の間では、これを陣中で羽織った華麗なものを陣胴服あるいは陣羽織とよぶようになり、衿も今日のようにしだいに外折りとなった。道服は羽織が一般化するにつれて、その名称も形態も変わった。

[遠藤 武]


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普及版 字通 「道服」の読み・字形・画数・意味

【道服】どうふく

道士の服。

字通「道」の項目を見る

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