堂上(読み)ドウジョウ

デジタル大辞泉 「堂上」の意味・読み・例文・類語

どう‐じょう〔ダウジヤウ〕【堂上】

《古くは「とうしょう」「どうしょう」とも》
建物の床の上。
室町時代以降の公家家格の一。清涼殿への昇殿を許される家柄。また、公卿になれる家柄。堂上家。⇔地下じげ堂下どうか
近世、広く朝廷を形づくる人々。公家。堂上方
清涼殿に昇殿すること。
内記の持ちたる宣命を取らずして―せられにけり」〈徒然・一〇一〉

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精選版 日本国語大辞典 「堂上」の意味・読み・例文・類語

どう‐じょう ダウジャウ【堂上】

〘名〙 (古くは「とうしょう」「どうしょう」とも)
① 建物の床の上。また、そこにいる人。殿上。堂下または地下に対する語。
※小右記‐寛仁二年(1018)一〇月一六日「卿相殿上人等絃哥、人々相応、堂上・地下糸竹同声」 〔孟子‐梁恵王上〕
② 室町時代以降の公家(くげ)の家格の一つ。広義には、清涼殿への昇殿をゆるされる家柄。狭義には、公卿になれる家柄。堂上家。
※宣胤卿記‐永正四年(1507)正月四日「抑資直昇殿事〈略〉然勅答不堂上列、如久我諸大夫、聴昇殿地下分之由被仰云云」
③ 朝廷をかたちづくる人々。公家(くげ)公家衆。堂上方。堂上衆。堂上人。
随筆胆大小心録(1808)九〇「近代の堂上の名家の書を始にみ習ふて」
④ (━する) 清涼殿に昇殿すること。殿上。
徒然草(1331頃)一〇一「内記の持たる宣命を取らずして堂上せられにけり」
禅林象器箋(1741)称呼「忠曰、堂頭亦言堂上

とう‐しょう タウシャウ【堂上】

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「堂上」の解説

堂上
とうしょう

昇殿を許された公卿・殿上人(てんじょうびと)の総称。昇殿を許されない地下(じげ)に対する称。院政期以降,昇殿を許される家格が固定化し,堂上家が成立した。堂上家には,摂関家,天皇外戚になる機会が多かったため太政大臣に至る官途を開いた清華(せいが),上流貴族の庶流頭中将(とうのちゅうじょう)をへて昇進する官途を形成した羽林(うりん),文筆などの実務能力から頭弁(とうのべん)をへて昇進する官途を確立した名家などの家格があった。

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普及版 字通 「堂上」の読み・字形・画数・意味

【堂上】どうじよう(だうじやう)

堂のうち。〔礼記、曲礼上〕堂上には趨(はし)らず。玉を執るときは趨(はし)らず。堂上には武(足あと)を接し、堂下には武を布く(大股に歩く)。

字通「堂」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「堂上」の意味・わかりやすい解説

堂上
とうしょう

殿上人

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世界大百科事典(旧版)内の堂上の言及

【貴族】より

…平安時代も中・末期になると,有位者の増大などによって位階の社会的評価も相対的に低下し,昇殿の制が新しい身分制として重んぜられるようになった。昇殿を許された四位・五位の廷臣は,殿上人とか雲客と呼ばれ,昇殿を許されない地下(じげ)の官人との較差を広げる一方,公卿の見習的な存在となり,近世では公卿も含めて堂上(とうしよう)と呼ばれ,公家貴族の総称となった。第4は皇親貴族の出現である。…

【殿上人】より

…宮中において昇殿を許された四位,五位の者の称。雲の上人(うえびと),雲上人(うんじようびと),雲客(うんかく),堂上(とうしよう)ともいう。殿上は清涼殿の殿上の間をいい,ここには,公卿(くぎよう),殿上人,六位の蔵人(くろうど)が伺候した。…

※「堂上」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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