迦楼羅(読み)カルラ

デジタル大辞泉 「迦楼羅」の意味・読み・例文・類語

かるら【×楼羅】

《〈梵〉garuḍaの音写金翅鳥こんじちょうと訳す》
想像上大鳥。翼は金色で、口から火を吐き、竜を好んで食う。天竜八部衆の一。密教では仏法を守護し衆生を救うために梵天ぼんてんが化したとする。
伎楽面の一。1に模したもの。鳥の形をして、口の先に小さな玉をくわえる。

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精選版 日本国語大辞典 「迦楼羅」の意味・読み・例文・類語

かるら【迦楼羅】

〘名〙
① (「がるら」とも) (garuḍa の音訳。「食吐悲苦声」と漢訳す) 仏語。仏教経典中にみえる一種の大鳥。両翼をのばすと三三六万里あり、金色で、口から火を吐き龍を取って食うとする。金翅鳥(こんじちょう)。密教では、仏法を守護し、衆生を救うために梵天(ぼんてん)が化したという。迦楼荼(かるだ)
法華義疏(7C前)序品「迦楼羅者。是金翅鳥」
② 伎楽面の一つ。①に模したもの。鳥の形をして、口の先に玉をくわえている。
法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「伎楽壱拾壱具〈略〉迦楼羅壱面 衣服具」

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改訂新版 世界大百科事典 「迦楼羅」の意味・わかりやすい解説

迦楼羅 (かるら)

サンスクリット名はガルダgaruḍa。インドの神話に登場する鳥類の王で竜を常食するとされる。金翅鳥(こんじちよう),妙翅鳥と漢訳されたものと同一視されている。大乗仏教では八部衆の一つに数えられている。密教においては梵天や大自在天の化身,あるいは文殊菩薩の化身といわれ,風雨を止めるための修法である迦楼羅法本尊とされるが,単独で造像された作例はのこっていない。形像は鳥頭人身で,胎蔵界曼荼羅に表される。八部衆の例には興福寺に伝わる奈良時代の乾漆像のほか,東京国立博物館所蔵の伎楽面(法隆寺献納宝物)の中に迦楼羅の面が存在しているが,平安時代以降に注目すべき作品はのこっていない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「迦楼羅」の意味・わかりやすい解説

迦楼羅
かるら

インド神話上の架空の鳥。サンスクリット語のガルダgaruaの音写。誐嚕拏(がろだ)、迦留羅(かるら)、掲路荼(がろだ)などとも書く。またガルダと同視される神話的な鳥スパルニンsuparin(金翅(こんじ)鳥、妙翅(みょうし)鳥)の訳でもある。鳥類の王で四天下の大樹におり、竜(りゅう)を食う獰猛(どうもう)な大怪鳥であるという。大乗の経典のなかでは、仏法を守護する天竜八部衆(てんりゅうはちぶしゅう)の一とされる。密教では大梵天(ぼんてん)、大自在天(じざいてん)の化身、または文殊(もんじゅ)の化身とされ、胎蔵界曼荼羅外金剛部(たいぞうかいまんだらげこんごうぶ)に位する。

[伊藤瑞叡]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「迦楼羅」の意味・わかりやすい解説

迦楼羅
かるら

ガルダ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の迦楼羅の言及

【八部衆】より

…非天と訳されることもある。(6)迦楼羅(ガルダgaruḍa) 鷲が神格化されたもの。金翅鳥(こんじちよう)とも訳され,竜のライバル。…

※「迦楼羅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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