蓮華蔵世界(読み)レンゲゾウセカイ

デジタル大辞泉 「蓮華蔵世界」の意味・読み・例文・類語

れんげぞう‐せかい〔レンゲザウ‐〕【×蓮華蔵世界】

仏語
華厳経に説く、一大蓮華の中に含蔵されている世界毘盧遮那びるしゃな仏の願行によって現出した一種浄土。蓮華蔵荘厳世界海。華蔵世界
梵網経に説く、千葉せんようの大蓮華からなる世界。盧舎那仏はその本源として蓮華座に座し、自身を変化させた千の釈迦が各世界で説法しているとする。蓮華胎蔵世界。蓮華海蔵世界。
浄土教で、阿弥陀仏の浄土。極楽世界

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精選版 日本国語大辞典 「蓮華蔵世界」の意味・読み・例文・類語

れんげぞう‐せかい レンゲザウ‥【蓮華蔵世界】

〘名〙 仏語。
阿彌陀仏の浄土。極楽別称浄土宗でいう。〔教行信証(1224)〕
② 梵網経に説く盧舎那仏の世界。千葉の大蓮華から成る。盧舎那仏はその蓮華の台座に座するとともに、自ら千の釈迦となって千葉の世界に身を現ずる。〔梵網経‐下〕

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百科事典マイペディア 「蓮華蔵世界」の意味・わかりやすい解説

蓮華蔵世界【れんげぞうせかい】

仏教で説く浄土一つ毘盧遮那(びるしゃな)仏の浄土。華蔵界とも。蓮華より生じ,蓮華に包まれる世界。《華厳(けごん)経》に説くのがこの浄土であるが,真言系では大日如来の浄土を,浄土教系では阿弥陀仏の浄土をこう呼ぶこともある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蓮華蔵世界」の意味・わかりやすい解説

蓮華蔵世界
れんげぞうせかい

仏教用語。蓮華の象徴的意味から発展した世界観。『華厳経』の華蔵世界品では,この世界が具象的に精緻に描かれている。その大要は,世界の最底に風輪があり,その上に香水海があり,そこに咲く蓮華の上に世界が網の目のように広大無辺にあり,その中心に仏が出現する。その世界を哲学的に解釈し,独自の世界観を打立てたのが華厳宗法蔵である。

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世界大百科事典(旧版)内の蓮華蔵世界の言及

【ハス(蓮)】より

…弥勒(みろく)の浄土である兜率(とそつ)天にも七宝(しつぽう)の蓮華が説かれ,彼の大師子座の四隅からは蓮華が生じ,そこから宝女が現れると説かれる。毘盧遮那(びるしやな)仏のまします蓮華蔵世界は香水海に浮かぶ大蓮華から出生した世界とされ,先述の《マハーバーラタ》などにみられる神話との関係も指摘されている。一方,〈浄土〉とハスの結びつきは仏教に固有のものではなく,バラモン教の文献《ジャイミニーヤ・ブラーフマナ》(前9世紀ごろ)中の〈ブリグの地獄めぐり物語〉にみられるバルナ神の楽土の描写には,青蓮,白蓮の花に満ち,蜜の流れる川が登場している。…

※「蓮華蔵世界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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