蒼氓
そうぼう
石川達三の中編小説。第一部『蒼氓』(『星座』第1号、1935年〈昭和10〉4月刊に発表)。第二部『南海航路』(1939)、第三部『声無き民』(1939)をあわせて『蒼氓』として39年8月、新潮社刊。秋田県出身の貧農の娘が、母と弟のために恋愛をあきらめブラジル移民となってゆく姿を中心に、ロンドン軍縮会議の進行や、大臣の連座する疑獄事件などを背景に描き込んでいる。第一部は神戸の移民収容所風景で、第1回芥川(あくたがわ)賞を受けたのはその部分で、『文芸春秋』9月号に転載された。同年10月に改造社から刊行された短編集『蒼氓』には、その第一部と、他の短編三編が収められている。
[久保田正文]
『『蒼氓』(新潮文庫)』
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デジタル大辞泉
「蒼氓」の意味・読み・例文・類語
そうぼう【蒼氓】[書名]
石川達三の長編小説。ブラジル移民を主題とする三部作の第一部として、昭和10年(1935)に発表。同年、第1回芥川賞受賞。第二部「南海航路」および第三部「声無き民」は昭和14年(1939)に発表された。昭和12年(1937)映画化、昭和35年(1960)テレビドラマ化。
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そう‐ぼう サウバウ【蒼氓】
〘名〙 (「氓」は民、移住民の意) たみ。人民。蒼生(そうせい)。
※蒼氓(1935‐39)〈石川達三〉「第一部 蒼氓」 〔羅隠‐婆留井銘〕
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普及版 字通
「蒼氓」の読み・字形・画数・意味
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