網走(支庁)(読み)あばしり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「網走(支庁)」の意味・わかりやすい解説

網走(支庁)
あばしり

北海道北東部、オホーツク海斜面一帯の町村を所管した北海道庁の出先機関。2010年(平成22)、支庁制度改革によってオホーツク総合振興局改称・改組された。旧網走支庁の所管区域は美幌(びほろ)、津別(つべつ)、斜里(しゃり)、清里(きよさと)、小清水(こしみず)、訓子府(くんねっぷ)、置戸(おけと)、佐呂間(さろま)、遠軽(えんがる)、湧別(ゆうべつ)、滝上(たきのうえ)、興部(おこっぺ)、雄武(おうむ)、大空(おおぞら)の14町と、西興部の1村。支庁所在地は網走市。原則として市域は所管外であるが、網走、北見、紋別(もんべつ)の3市を含む地域を意味する場合もあり、また実務上も市域を含めて管内とされることが多かった。

 北見国のうち紋別、常呂、網走、斜里の4郡の範囲で、西部には北見山地、南部には千島(ちしま)火山帯が走り、年降水量は850ミリメートル前後で全国でもっとも少なく、冬季は流氷により海面が凍結する。江戸時代中期以降漁場の開発が行われ、1890年代に北見、上湧別などに屯田兵村が設置され、1900年代のハッカ栽培は常呂郡の農業開発を促進した。水稲栽培は1920年以降急進し、現在も北見盆地を中心に作付けされるが、畑作酪農を中心とする大規模農業に特色があり、サトウダイコンビート)、ジャガイモなど耐寒畑作物と、畜産、タマネギが重要である。漁業ではサケ・マス定置網、ホタテガイ養殖なども行われる。全道一の蓄積を誇る森林地帯であり木材工業は盛んだが、その他の工業は食品工業を除いて不活発であった。しかし1990年代に入って電気機器の伸びが著しく、ほかに窯業・土石製品、金属などの工業も行われる。知床(しれとこ)国立公園、網走国定公園、斜里岳(しゃりだけ)道立自然公園がある。

[岡本次郎]

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