空音(読み)ソラネ

デジタル大辞泉 「空音」の意味・読み・例文・類語

そら‐ね【空音】

実際には鳴っていないのに聞こえるような気がする音。また、鳴らそうとしないのに、たまたま鳴ってしまう楽器の音。
「風が吹きつけたり、小僧の手が障ったりして、―を出す事があります」〈漱石吾輩は猫である
いつわりの言葉うそ。「空音を吐く」
鳥などの鳴き声をまねて出す声。なきまね。
「夜をこめて鳥の―ははかるとも世に逢坂の関は許さじ」〈・一三六〉
[類語](2偽り法螺そら嘘っぱち嘘八百虚偽偽善まことしやか二枚舌はったり虚言虚辞そら言もっともらしいでたらめ出任せ出放題荒唐無稽事実無根根も葉もない/(3鳴き声囀り初音鶏鳴東天紅雁が音・吠え声・遠吠え・嘶き

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「空音」の意味・読み・例文・類語

そら‐ね【空音】

〘名〙
① 鳥などの鳴き声らしく鳴らす音。また、実際には鳴いていないのに、鳴いたように聞こえてくる鳴き声。
※枕(10C終)一三六「夜をこめて鳥のそらねははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ」
平家(13C前)四「其時関守鳥のそらねに化されて」
② 泣きまねの声。
拾遺(1005‐07頃か)雑春・一〇七四「声たててなくといふとも郭公たもとはぬれじそらねなりけり〈よみ人しらず〉」
③ うそいつわり。
④ 実際には鳴っていないのに、聞こえてくるような気がする楽器の音。また、鳴らそうとしないのにふと手が触れたり風に吹かれたりなどして鳴る楽器の音。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一一「夫がね、時々散歩をして前を通るときに風が吹きつけたり、小僧の手が障ったりして、そら音を出す事があります」
⑤ 鳥が空を飛びながら鳴くこと。
※光悦本謡曲・采女(1435頃)「月になけ同じ雲居のほととぎすあまつそらねのよろづ代迄に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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