郭公(読み)かっこう

精選版 日本国語大辞典 「郭公」の意味・読み・例文・類語

かっ‐こう クヮク‥【郭公】

〘名〙
① カッコウ科の鳥。全長約三五センチメートルで、ホトトギスより大きい。背面は濃灰色で、腹面には白地黒色の横斑が不規則に並ぶ。まれに全身赤味を帯びた赤色型がいる。自分で巣を作らず、モズオオヨシキリなどの巣に産卵し、それらの鳥を仮親として育てさせる。ユーラシア大陸中北部に広く分布し、日本には五月頃渡来し、八月頃去り始める。平地から低山にすみ、主に昆虫を捕食する。鳴き声は「カッコー」と聞こえる。かっこどり。かんこどり。がっぽうどり。よぶこどり。ふふどり。《季・夏》
蘆刈(1939)〈水原秋桜子〉「郭公や瑠璃沼蕗の中に見ゆ」
② 鳥「ほととぎす(杜鵑)」をいう。「ほととぎす」の漢字表記「郭公」を音読したもの。〔十巻本和名抄(934頃)〕
俳諧・御傘(1651)一「郭公(ほととぎす)〈略〉或はくっこう・杜鵑・子規〈略〉ときの鳥なとの異名にして」
[語誌]中国では①を指す語として用いられているが、日本では平安初期の「新撰万葉」「新撰字鏡」などが、「ほととぎす」に「郭公鳥」「郭公」などの字をあてており、長く「ほととぎす」を表記する語として用いられてきた。「かっこう」を「郭公」と表記するようになるのは近代に入ってからである。

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デジタル大辞泉 「郭公」の意味・読み・例文・類語

かっ‐こう〔クワク‐〕【郭公】

《鳴き声から》カッコウ目カッコウ科の鳥。全長約35センチ。全体に灰色で、腹に黒い横斑がある。ユーラシア・アフリカに分布。日本には夏鳥として渡来し、高原などでみられる。自分では巣を作らず、モズホオジロなどの巣に托卵する。ひなは早く孵化ふかし、仮親の卵を巣の外へ放り出す習性がある。閑古鳥かんこどり合法鳥がっぽうどり。かっこうどり。 夏》「―や眠りの浅き旅の宿/誓子

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普及版 字通 「郭公」の読み・字形・画数・意味

【郭公】かつ(くわく)こう

杜鵑科のふふどり。その鳴き声から名づける。元・李孝光〔朱希顔に寄す、二首、一〕詩 會(たまたま)行人り、回首する處 兩邊の楓樹、郭

字通「郭」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「郭公」の解説

郭公 (ホトトギス)

学名Tricyrtis hirta
植物。ユリ科の多年草,園芸植物

郭公 (カッコウ)

学名:Cuculus canorus
動物。ホトトギス科の鳥

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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