熊倉村
くまぐらむら
[現在地名]喜多方市熊倉町熊倉
中里村・三城目村の東、会津盆地北東縁に位置する。檜原峠越米沢街道の宿駅で、本村集落は同街道に沿って形成される。東は南流する大塩川を隔てて高柳村、南は小沼村など。熊倉組に属した。本村の西に八町（八丁とも記し、寛文三年の開田）、南西に舞台田、舞台田の西に柳原の各端村がある。また南西方には寛文六年（一六六六）の「会津風土記」などにみえる中谷地という端村もあったが、文化年中（一八〇四―一八）には廃村となっていた（新編会津風土記）。「会津鑑」などによると、古くは羽曾部村と称していたという。集落北方には天文年間（一五三二―五五）山口弥太郎実村が築いた山口屋敷とよばれる館跡があり、山口氏はのち羽曾部氏を名乗ったと伝える。文禄三年（一五九四）の蒲生領高目録に熊倉とみえ、高一千八六四石余。慶長六年（一六〇一）上杉景勝は当地に米沢街道の宿駅を置き、物江土佐を検断に任命、また五・一〇の日の六斎市の市立てを許可している（新編会津風土記）。その後、物江家は熊倉宿の宿駅検断と熊倉市の市検断を兼務世襲することとなった。
熊倉村
くまぐらむら
[現在地名]豊科町大字高家 熊倉
犀川の屈曲点に位置し、西側に中曾根川（旧梓川河床）が流れ、この間に挟まれた自然堤防上に発達した島状の集落である。中村・町村・反所・上出・二本木・大原・柳原などの集落からなる。宮北から打製石斧が出土している。
永享一二年（一四四〇）小笠原正透の結城陣番帳の一八番に「熊蔵氏」の名がみえる。天正七年（一五七九）下諏訪春宮造宮帳によれば「熊倉」と出ており、一貫八八〇文を所役し、代官が「丸山下野・同名出雲」とある。
熊倉村
くまくらむら
[現在地名]南牧村熊倉
北西部山中より流出する熊倉川（南牧川）が北部を東流、西部・南部は標高一三〇〇メートル前後の峰が連なる。東は羽沢村、西は信濃国佐久郡余地村（現長野県南佐久郡佐久町）、同郡田野口村（現同郡臼田町）とは西・北に、南は同郡大日向村（現佐久町）と接し、南牧道が北部を抜け余地峠を越えて信濃国に至る。「関八州古戦録」によれば、天正一〇年（一五八二）四月五日に甲府を立った滝川一益は、軍勢五千余騎を率いて「余地峠ヨリ熊倉」に出て上州へ討入った。
熊倉村
くまぐらむら
[現在地名]西郷村熊倉
阿武隈川南岸にあり、上流で千歳川が合流する。南東は米村、南は小田倉村、北は下羽太村。南東一六町七間にある熊倉新田村との境は入交じって判然としない。初め会津領、寛永四年（一六二七）白河藩領、慶応二年（一八六六）以後幕府領。文禄三年（一五九四）の蒲生領高目録では高五〇五石余。慶安三年（一六五〇）本多忠義による検地の高六三三石余（白河古領村郷高帳）。文化年間（一八〇四―一八）の白川郡内二万石分村高（福島県史）では免四ツで、「外壱ツ弐歩依願用捨引」とある。同じ頃の家数四六で、戸の内に九、中道地に五、原屋敷に一四、本村に一八と分れて住んでいる（白河風土記）。
熊倉村
くまぐらむら
[現在地名]只見町熊倉
泥島村の西、伊南川右岸にあり、北に別当山（九二四メートル）がそびえる。延文六年（一三六一）三月五日の秀堂徳盛遺誡案写（相州文書所収鎌倉郡宝珠庵文書）に会津如法寺（現会津若松市）領としてみえる「熊倉村」は当地のことと思われる。文禄三年（一五九四）の蒲生領高目録に「熊倉 八十一石五斗三升」とある。慶長二年（一五九七）の藤三郎倉入在々高物成帳（福島県史）には「熊蔵」とあり、同高で免二ツ九分。黒谷組に属する。「会津風土記」に「熊倉 熊倉新田」とあり、「新編会津風土記」は小名として沖・熊倉新田をあげ、熊倉新田について「寛文の頃までは格村なり何の頃にか此村に属す旨趣詳ならず」と記している。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
