南会津郡(読み)みなみあいづぐん

日本歴史地名大系 「南会津郡」の解説

南会津郡
みなみあいづぐん

面積:二三四一・七八平方キロ(境界未定)
下郷しもごう町・田島たじま町・舘岩たていわ村・伊南いな村・南郷なんごう村・只見ただみ町・檜枝岐ひのえまた

明治一二年(一八七九)の郡区町村編制法施行により、それまでの会津郡が南北に分けられて成立。県の南西部に位置し、南は帝釈たいしやく山地を境に群馬県利根とね片品かたしな村・栃木県塩谷しおや栗山くりやま村・同郡藤原ふじはら町・黒磯市、東は西白河郡西郷にしごう村・岩瀬郡天栄てんえい村、北は会津若松市・大沼郡会津高田あいづたかだ町・同郡昭和しようわ村・同郡金山かねやま町と新潟県東蒲原ひがしかんばら上川かみかわ村、西は同県南蒲原郡下田しただ村・北魚沼きたうおぬま入広瀬いりひろせ村・同郡湯之谷ゆのたに村に接する。南境の荒海あらかい(太郎岳、一五八〇・四メートル)と北境の駒止こまど高原を結ぶ山嶺を境に東部と西部に区分される。東部は荒海山を水源地とする阿賀川(大川)流域で田島町下郷町があり、荒海川・檜沢ひさわ川・水無みずなし川・加藤谷かとたに川・戸石といし川・観音かんのん川・鶴沼つるぬま川などの支流をもつ。阿賀川には河岸段丘が発達し、集落・農耕地に利用されている。西部は尾瀬おぜ沼を水源地とする只見川の本流とその支流伊南川の流域で、南から北へ檜枝岐村舘岩村伊南村南郷村・只見町が並ぶ。面積は東部の約二倍だが大部分は高冷な山間地である。伊南川支流に檜枝岐川・舘岩川・塩岐しおのまた川・黒谷くろたに川があり、只見川には奥只見おくただみダム・大鳥おおとりダム・田子倉たごくらダムなどがあって発電に利用されている。東部を阿賀川沿いに会津鉄道が通り、国道一二一号が同鉄道にほぼ並走する。国道一二一号から下郷町と白河市を結ぶ国道二八九号、田島町から昭和村へ抜ける国道四〇〇号がそれぞれ分岐する。西部は只見川沿いにJR只見線が通り、伊南川沿いに国道四〇一号・同二八九号が縦貫する。国道二八九号は南郷村山口やまぐちで東に折れ田島町へ、また国道四〇一号から分岐する国道三五二号も田島町へそれぞれ通じている。

南西部の檜枝岐村と片品村にまたがる尾瀬沼・尾瀬ヶ原は国指定特別天然記念物で、一帯は日光国立公園に含まれ、西境の奥只見ダム一帯は越後三山只見国定公園に属する。阿賀川には下郷町付近に凝灰石の浸食によって形成された奇岩群があり、塔のとうのへつり中山なかやま風穴の周辺の高山植物帯は国指定特別天然記念物で、一帯は大川羽鳥おおかわはとり県立自然公園に含まれる。

〔原始・古代〕

田島町丹藤の大明神たんどうのだいみようじん遺跡は郡内唯一の旧石器時代のもので、約一万五千年前とされるナイフ形石器が出土している。縄文時代の遺跡は早期の押型文土器を出土した田島町針生の石橋はりゆうのいしばし遺跡、常世式土器を出土する針生のみやした遺跡などがある。中期になると関東色が強くなり、また越後との類似性も認められる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報