烏亭焉馬(1世)(読み)うていえんば[いっせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「烏亭焉馬(1世)」の意味・わかりやすい解説

烏亭焉馬(1世)
うていえんば[いっせい]

[生]寛保3(1743).江戸
[没]文政5(1822).6.2. 江戸
江戸時代後期の狂歌師戯作者。本名,中村利貞。字,英祝。通称,和泉屋和助。別号,立川焉馬,談洲楼,桃栗山人柿発斎。狂号を鑿釿言墨曲尺 (のみちょうなごんすみかね) 。本所相生町で大工棟梁のかたわら足袋,木綿類を商う。俳諧から狂歌,戯作へと転じ,『客者評判記』 (1780) ,『通人の寝言』 (82) などの洒落本,『戯算甚孝記』 (80) などの黄表紙も書いた。また5世市川団十郎と義兄弟の交わりをし,『歌舞伎年代記』 (1811~15) を著わした。天明6 (1786) 年,四方赤良 (よものあから) ,鹿都部真顔 (しかつべのまがお) らの協力のもとに江戸における最初の咄 (はなし) の会を催し,江戸落語流行のきっかけをつくり,以後文政5 (1822) 年にいたるまで二十数回にわたって会を主催。それらの咄を『咄し売』 (1789) ,『喜美談語』 (96) ,『無事志有意』 (98) などにまとめた。落語中興の祖とされる。弟子には立川 (たてかわ) を名のって落語家になった者が多い。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android