デジタル大辞泉
「炊」の意味・読み・例文・類語
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かし・ぐ【炊】
〘他ガ四〙 (古くは「かしく」) 米、麦、粟等を、煮たり蒸したりして飯にする。飯をたく。炊事する。
※
書紀(720)大化二年三月(北野本訓)「復、
(つか)はるる民有りて、
路頭に炊
(カシキ)飯
(は)む」
※
万葉(8C後)五・八九二「甑
(こしき)には
蜘蛛の
巣懸きて 飲炊
(かしく) 事も忘れて」
※
日葡辞書(1603‐04)「メシヲモ caxicanu
(カシカヌ) ウチニ ウエタ」
[語誌](1)
上代には、米を蒸したものを
常食としていたので、「かしく」は「米を蒸すこと」をいった。ところが、中古末頃からカタカユが常食となったため、「かしく」は「米を炊くこと」をいうようになった。
(2)近世初期頃まで、語末は
清音であったが、サワク→サワグ、ソソク→ソソグ、などと変化した
動詞と同様に、「かしぐ」とガ行に活用するようになった。
かしき【炊】
〘名〙 (動詞「かしく(炊)」の連用形の名詞化)
① 炊事をすること。飯をたくこと。また、それをする所。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「これはみかしき。〈略〉
きたのかた、ぬしのおものかしく」
② 江戸時代の廻船乗組員のうち炊事にたずさわる者の職名。ふつう、乗組中の最年少者がなる下級船員。これから、初めて
一人前の
水夫となり、
楫取、表役など
幹部となって
船頭(
船長)となった。
※筑州唐泊浦孫七天竺語(1770か)「食焚(かしき)の源蔵帆足にはねられ」
③ 生活してゆくてだて。
※
末枯(1917)〈
久保田万太郎〉「小よし一人のはたらきだけではカシキのつくはずはなかった」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報