深田郷(読み)ふかだごう

日本歴史地名大系 「深田郷」の解説

深田郷
ふかだごう

明徳元年(一三九〇)、足利将軍家より京都祇園社(八坂神社)に寄進された所領で、八坂神社文書・同記録で当時の様子が知られる。同年五月二二日の足利義満寄進状以下の一連史料によると、最初寄せられるはずだった「近江国山中跡」の替えとして「美濃国深田・富永」が祇園社に寄進されることになったもので、それぞれ「谷中務并小笠原跡」であった。同年閏三月の土岐康行の乱に関連して没収・寄進されたもので、その内容は郷地頭職であったと推定される。これらの所領は闕所跡という事情もあってか、祇園社の支配は非常に不安定であった。応永三年(一三九六)祇園社雑掌実晴より、深田・富永とみなが両郷および下野しもの村に対する「与五左衛門尉以下輩」の押領が訴えられており、幕府は三月二八日付で将軍家御教書を発して、美濃守護土岐頼忠に処置を命じている。

深田郷
ふかたごう

和名抄」高山寺本に「フカタ」と片仮名で訓を付し、東急本は訓を欠く。位置について「名跡考」は箱田はこだ(現北橘村)、「大日本地名辞書」は増田ますだ駒形こまがた(現前橋市)付近、「日本地理志料」は旧木瀬きせ村・荒砥あらと(現前橋市)の南部に比定しているものの、いずれも確証がない。

深田郷
ふかだごう

「和名抄」高山寺本は「布賀」、東急本は「布加多」の訓を付す。「延喜式神名帳に「深田フカタノ神社」がみえる。

深田郷
ふかたごう

「和名抄」諸本とも文字異同はなく、伊勢本・東急本・元和古活字本の訓「布加多」から「ふかた」と読む。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

土砂災害

大雨や地震が誘因となって起こる土石流・地滑り・がけ崩れや、火山の噴火に伴って発生する溶岩流・火砕流・火山泥流などによって、人の生命や財産が脅かされる災害。...

土砂災害の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android