本家(読み)ほんけ

精選版 日本国語大辞典 「本家」の意味・読み・例文・類語

ほん‐け【本家】

〘名〙
① おおもとになる家筋。一族の中心になる家筋。いえもと。宗家。また、一番のおおもと。
※幸若・築島(室町末‐近世初)「都より本家の一族下向あって」
分家した者が、分家以前まで、その家族として属していた家。また、別家した者が、別家以前まで、奉公人として属していた家。おもや。
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初「親類縁者あらぬゆゑ、只本店の持同前、その本家(ホンケ)へは彼鬼兵衛が如才なく機嫌をとり」 〔後漢書‐梁節王暢伝〕
③ 妻の親の家。里方。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「檜皮の大殿、廊、渡殿、蔵、板屋など、〈略〉本けの御れうに造らせ給ふ」
※三国地志‐天喜元年(1053)三月二七日・官宣旨案一「雖官符、猶張各本家之威勢、敢無国務之輩
⑤ 江戸時代、武家で、ある家の子孫で知行を分けてもらったり、また、幕府から別の知行をもらって一家を立てた者から、そのもとの家をいう。〔諸例集‐六・嘉永二年(1849)正月二〇日・極本家・末家唱方法(古事類苑・政治六四)〕
⑥ 出入りの仕事師、職人などにとって、その主家
⑦ 本国の家。
※今昔(1120頃か)一「各善き衣服を着、象馬に乗じて迦毗羅国の境を出て、宝の衣を脱ぎ象馬等を以て、優婆離に付て、各本家へ返す」

ほ‐け【本家】

〘名〙 (「ほんけ」の撥音「ん」の無表記) =ほんけ(本家)

ほん‐いえ ‥いへ【本家】

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デジタル大辞泉 「本家」の意味・読み・例文・類語

ほん‐け【本家】

一族の中心となる血筋の家。
流派などで、そのおおもととなる家。家元。宗家。「観世流の本家
分家の出たもとの家。⇔分家
妻の親のほうの家。里方。
「三日の夜は―、五日の夜は摂政殿より」〈栄花・さまざまの喜び〉
本所ほんじょ1」に同じ。
[類語]宗家家元総本家当主主家本家本元

ほ‐け【本家】

ほんけ」の撥音の無表記。
「三日の夜は―、五日の夜は摂政殿より」〈栄花・さまざまの喜び〉

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本家」の意味・わかりやすい解説

本家
ほんけ

(1)荘園(しょうえん)制で、領主・領家の上に位置する寺社や権門勢家など、その荘園の名義上の所有者。本所(ほんじょ)ともいう。

(2)一族・一家などの中心となる家。分知や財産分与などにより分家を創出する。

[編集部]

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旺文社日本史事典 三訂版 「本家」の解説

本家
ほんけ

平安中期以後,寄進地系荘園が盛行して以来の最高の領有者をいう
寄進者から名目上の領主権を寄進された領家が,さらに年貢の一部を上位者に寄進した場合,これを本家と呼んだ。摂関家や女院等が多かった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本家」の意味・わかりやすい解説

本家
ほんけ

先祖伝来の家屋敷,家名を継承する嫡流の家。分家に対し,その元となった家。オオヤ,オモテ,オモヤ,モトヤなど多くの地方的名称がある。

本家
ほんけ

平安~鎌倉時代荘園制で,領家から寄進を受けて名義上の荘園所有者となっている者。本所ともいう。

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世界大百科事典 第2版 「本家」の意味・わかりやすい解説

ほんけ【本家】

(1)なんらかの形で分家を持っている家を本家といい,地方によって異なるが,ホンケ,ホンヤ,オモヤ,フトカエセンゾモトなどの名称で呼ばれている。分家からみて本家は2種類ある。一つは分家者がその家から分家した家であり,いま一つはそうした分家行為なしに契約的に結ばれた本家である。後者は村落生活における必要上,分家がある家に依頼して本家となってもらったものである。同族組織を形成するような著しい上下関係が本家との間に成立していない場合であっても,分家にとって本家は多少とも上位に立つと意識されていることがきわめて多い。

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普及版 字通 「本家」の読み・字形・画数・意味

【本家】ほんか・ほんけ

さと、分家のもと。

字通「本」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「本家」の意味・わかりやすい解説

本家【ほんけ】

本所

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世界大百科事典内の本家の言及

【親分・子分】より

…生みのオヤが有力な家の家長やその妻やアトトリにオヤとなってもらって,無力な家に生まれた子がそのコ(子分)となる社会的事実は,ムラやマチの慣習や儀礼におけるオヤコナリ(親子成り)の仕方に見いだされた。家の内では家長と家の成員の関係としてのオヤコに,子方・子分・子供衆(商家の住込み子飼いの丁稚(でつち))もまた子と同様にコとして含まれる点に注目すべきで,家の拡大展開による本家分家(親族分家と非親族分家=奉公人分家,別家ともいう)の関係においてもこの原則はあった。本家・分家間の同族の関係は,明治の民法以来,法律上本家・分家とされたものとは違って,親子や養親・養子,また嫁・婿の範囲に限定されず,同族関係とオヤコ関係(親分・子分関係)が合致していたのが原型であり,のちに両者が分化された。…

【公家領】より

…平安中期以降,公家社会の階層分化がしだいに進み,さらに摂関家以下の家格・家職が形成されるにともない,それぞれの所領の形態も多様化した。中世の摂関家(摂家)の所領は,摂関職,氏長者の地位とともに各家の間を伝領される膨大な〈渡領〉と,各家固有の〈家領〉とに分かれるが,その家領も主要部分は,本家として一定の得分を収取する所領と,本所として荘務を進退する所領とから成り,皇室領をはじめ,他家の所領の下級所職を知行することはない。これに対し摂関家に次ぐ上級公家の場合その所領は上皇領,女院領等の領家職あるいは預所職等の知行が重要な要素となっており,中・下級公家では摂関家領その他上級公家領の所職を,奉仕に対する俸禄的な意味で知行するものが,家領の重要な部分を占めている。…

【同族】より

…本家とその親族分家や奉公人分家,また直接分家だけでなく間接分家(分家の分家,すなわち孫分家とか又分家と呼ばれた家)をも含む組織集団。農山漁村社会でマキ,マケ,マツイ,カブウチ,イッケ,クルワなどとも呼ばれ,商人社会ではノーレンウチなどとも呼ばれた。…

【領家】より

…古代末期~中世の荘園領主の呼称。(1)下司(げし),公文(くもん)などの荘官と区別された荘園領主一般をさし,本家本所などと同義的に用いられた。例えば,《御成敗式目》第6条の〈国司領家の成敗,関東御口入(おんくにゆう)に及ばざる事〉という規定は,鎌倉幕府の支配地域以外の領域を,国司と領家に代表させているが,この場合の領家は,国司=国衙領(公領)との対比から,荘園領主一般を意味していたと考えるべきである。…

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