春興殿(読み)シュンコウデン

デジタル大辞泉 「春興殿」の意味・読み・例文・類語

しゅんこう‐でん【春興殿】

平安京内裏十七殿の一。紫宸殿ししんでん南東日華門の南にあり、安福殿と対する。武具などを置いた。のち、神鏡を置いて内侍所ともなる。しゅんきょうでん。

しゅんきょう‐でん【春興殿】

しゅんこうでん(春興殿)

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精選版 日本国語大辞典 「春興殿」の意味・読み・例文・類語

しゅんこう‐でん【春興殿】

[一] 平安京内裏の殿舎の一つ。紫宸殿南庭の東側、宜陽殿の南にあって西の安福殿と対をなす。武具を置いていた。神鏡を奉安する賢所(かしこどころ)(=内侍所)は温明殿(うんめいでん)にあったが、のち春興殿に遷った。しゅんきょうでん。
日本紀略‐貞観一三年(871)六月二日「去貞観八年出春興殿甲冑七十三領、下造兵司修理」
[二] 京都御所内の殿舎の一つ。大正四年(一九一五大正天皇即位儀式にあたり、紫宸殿の東方、宜陽殿の東側に造られた。

しゅんきょう‐でん【春興殿】

[補注]「色葉字類抄」では「春興殿 スンキョウでん」と表記されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「春興殿」の意味・わかりやすい解説

春興殿 (しゅんこうでん)

内裏の殿舎の一つ。〈しゅんきょうでん〉ともよむ。紫宸殿(ししんでん)の南庭の東端にある。紫宸殿の東に宜陽殿(ぎようでん)があり,その南に日華門,春興殿と連なり,その南が左腋門(さえきもん)と続き内裏の内郭の塀と接している。西面して南庭をはさんで安福殿と対している。7間3面,檜皮葺,北・東・西に廂(ひさし)があり,東は孫廂まであり,西は土廂である。武具を納めた所で,東廂に内豎(ないじゆ)の詰所がある。平安時代に雷鳴(かみなり)の陣がしかれたとき,この西廂に内舎人(うどねり)が警護したこともある。内裏が焼亡して里内裏となると,温明殿(うんめいでん)に代わってこの御殿に神鏡が奉安されることとなった。現在の京都御所では,紫宸殿の東方宜陽殿のさらに東にある独立の建物となっている。これは大正天皇の即位の大礼のさい造営され,銅板葺,檜柱に白壁であるが,外側は風雨除けの差し掛,裳層(もこし)によって覆われている。京都における神鏡の奉安所である。
内侍所(ないしどころ)
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春興殿」の意味・わかりやすい解説

春興殿
しゅんこうでん

平安京内裏の一殿舎。紫宸殿の南東,内裏の南門である承明門を入って右側に位置し,左側の安福殿に対していた。西面して,広さは7間3面,東廂 (ひさし) の北端は内竪 (ないじゅ) 所内候の武具の置場であった。室町時代からは神鏡の奉安所となり賢所 (かしこどころ) といった。安政内裏 (現在の京都御所) では紫宸殿の東に位置し,5間2面であったが,これは 1889年橿原 (かしはら) 神宮本殿として移築された。現在京都御所にある春興殿は 1915年大正天皇即位の大礼のために造営されたものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春興殿」の意味・わかりやすい解説

春興殿
しゅんこうでん

「しゅんきょうでん」とも読む。平安宮内裏(だいり)の殿舎の名。紫宸殿(ししんでん)南庭の東、宜陽殿(ぎようでん)の南にある。檜皮葺(ひわだぶ)きで南北7間、東西2間の母屋(もや)の東西(あるいは東西北)に廂(ひさし)、東に孫廂のある西向きの建物。母屋には武具を納め、東廂には宮中に仕える童子のいる内豎所(ないじゅどころ)があり、西廂は各種の儀式に使われた。鎌倉時代以降、神鏡を祀(まつ)る賢所(かしこどころ)が移され、1869年(明治2)の東京遷都まで続いた。また大正天皇即位のとき、京都御所に神鏡を安置する所として、紫宸殿の東に春興殿が造営され、現在に至っている。

[吉田早苗]

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世界大百科事典(旧版)内の春興殿の言及

【春興殿】より

…紫宸殿(ししんでん)の南庭の東端にある。紫宸殿の東に宜陽殿(ぎようでん)があり,その南に日華門,春興殿と連なり,その南が左腋門(さえきもん)と続き内裏の内郭の塀と接している。西面して南庭をはさんで安福殿と対している。…

※「春興殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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