もや

精選版 日本国語大辞典 「もや」の意味・読み・例文・類語

も‐や

(係助詞「も」に間投助詞「や」の付いたもの) 体言・体言に係助詞の付いたものおよび終止した文を受け、詠嘆を表わす。
古事記(712)下・歌謡置目母夜(モヤ) 淡海の置目 明日よりは み山隠りて 見えずかもあらむ」
万葉(8C後)二〇・四四一五「白玉を手に取り持して見るのすも家なる妹をまた見ても母也(モヤ)

も‐や

(係助詞「も」「や」の重なったもの) 体言・副詞活用語連用形を受け、「も」は詠嘆、「や」は疑問を表わす。
古今(905‐914)恋二・五六八「死ぬる命生きもやすると心みに玉の緒ばかりあはむといはなむ〈藤原興風〉」

もや

〘名〙 たきぎにする小枝や木の葉。粗朶(そだ)。ぼや。
滑稽本・続膝栗毛(1810‐22)初「くゎんすの下ナア榾(モヤ)くべてえっとたけやい」

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デジタル大辞泉 「もや」の意味・読み・例文・類語

も‐や[連語]

[連語]《係助詞「も」+係助詞「や」》名詞、副詞、活用語の連用形に付く。…のだろうか。…のではなかろうか。
聖教しゃうげうの細やかなることわり、いとわきまへず―と思ひしに」〈徒然・一四一〉

もや[間助]

[間助]《係助詞「も」+間投助詞「や」から。上代語》名詞、活用語の終止形、助詞に付く。強い感動・詠嘆を表す。…(も)まあ。
「我は―安見児やすみこ得たり皆人の得かてにすといふ安見児得たり」〈九五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「もや」の意味・わかりやすい解説

もや
もや / 靄

大気中に立ちこめるごく薄い霧。大気中には通常いくらかの煙やほこりが浮かんでいるが、湿度が比較的高いと煙やほこりの粒の一部は水分を吸って大きくなり、ごく薄い霧になる。気象観測では視程が1キロメートル以上のときを「もや」、1キロメートル以下のときを霧としているので、気象観測でいうもやは、霧の前段階の現象である。空気が乾燥しているときは、もやはできないが、煙やほこりが多いときには遠方の地物が灰色にかすんで見える。これを煙霧といっている。

[大田正次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「もや」の意味・わかりやすい解説

もや
mist

きわめて微小な水滴または湿った吸湿性の粒子が空気中に浮遊する現象。靄。水平方向の視程は 1km以上。視程 1km未満の時はである。もやの中の相対湿度は霧の場合より小さく,おおむね 75%以上だが 100%になることはない。全体として灰色っぽい。

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