日和見感染症(読み)ひよりみかんせんしょう

百科事典マイペディア 「日和見感染症」の意味・わかりやすい解説

日和見感染症【ひよりみかんせんしょう】

健康時には問題とはならない,人間の体内(口,鼻,腸管,腟内など)や皮膚の表面に付着したり生息したりしている微生物(弱毒菌,平素無害菌)が,なんらかの原因による免疫力(感染抵抗力)低下に乗じて病原性を発揮し,感染するもの。〈難治性感染症〉ともいう。肺真菌症放線菌症が代表的な病気。 感染抵抗力の低下は,白血病(がん),悪性リンパ腫糖尿病腎不全,脳血管障害,エイズなどの病気,副腎ステロイド剤や免疫抑制剤など薬剤による副作用,放射線治療の副作用,高齢などによって引き起こされる。 病原体は,緑膿菌霊菌カンジダ菌,アスペルギルスなど多種に及ぶ。また,バンコマイシン耐性腸球菌VRE)のように,抗生物質の使用によってさらに強力な耐性菌(病原体)が発生することも考えられる。
→関連項目生体小腸移植

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知恵蔵 「日和見感染症」の解説

日和見感染症

免疫の働きが低下している時に、健康な人では感染しない、病原性の弱い微生物に感染すること。免疫機能の低下は、免疫不全症患者がん治療を受けている患者に起こる。緑膿菌、変形菌肺炎桿菌(かんきん)、セラチア菌などの細菌、クリプトコッカス、カンジダなどの真菌サイトメガロウイルス、ニューモシスチス・カリニなどによる感染がその例。

(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)

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