廬(漢字)

普及版 字通 「廬(漢字)」の読み・字形・画数・意味


19画

[字音]
[字訓] かりや・いおり・やどる・いえ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は盧(ろ)。〔説文〕九下に「寄(かりや)なり。秋には去り、春夏には居る」とあって、農耕の時に寄宿する田中の廬舎をいう。また〔段注〕に〔詩、大雅、公劉〕「時(ここ)に廬す」、〔詩、小雅、信南山〕「中田に廬り」などの句を引いて証とする。〔公劉〕の「廬」は、都作りのとき地霊を祀る「旅宿り」の儀礼であり、〔信南山〕の句はつづいて「疆(きやうえき)にり」とあって、廬対文であるから、廬舎の意ではない。秋冬邑居のことは〔漢書、食貨志〕にみえるが、経書の解釈として記されているもので、耕作者のとる一般的な形態ではない。金文に「射廬」があり、神都の辟雍(へきよう)に附設された射儀を行うところ。また〔儀礼、既夕記〕に「倚廬(いろ)に居る」とは、廬舎堊室(あくしつ)、服喪するときに居るところ。そのような儀礼の場に忌み小屋として用いるのが原義。のち草廬茅屋の意となる。

[訓義]
1. かりや、ものかりや、いみのかりや。
2. いおり、かりずまい。
3. やどる、はたご。
4. いえ、書斎などにいう。
5. とのいの間、宿直室。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕廬 伊保(いほ)〔和名抄〕廬 伊本(いほ)〔名義抄〕廬 イホ・イホリ

[語系]
廬・閭liaは同声。里liは声義近く、田社のあるところをいう。廬ももと、一般と隔離された忌殿としての屋舎をいう語であろう。

[熟語]
廬堊廬庵廬塋・廬園・廬屋・廬下廬居・廬室・廬舎・廬・廬井・廬前・廬側廬冢・廬帳・廬第廬廡廬墓廬落
[下接語]
庵廬・倚廬・園廬・屋廬・蝸廬・臥廬・学廬・旧廬・穹廬・窮廬・居廬・僑廬・寓廬・結廬・故廬廬・闔廬・室廬・草廬・僧廬冢廬・田廬・仏廬・敝廬・廬・廬・茅廬・野廬・陋廬

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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