デジタル大辞泉
「安心」の意味・読み・例文・類語
あん‐じん【安心】
仏語。
1 仏法の功徳によって、迷いがなくなった安らぎの境地。
2 阿弥陀仏の救いを信じて、浄土往生を願う心。
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あん‐しん【安心】
〘名〙 (「あんじん」とも)
① (━する) 心が安んじること。気がかりなことがなくて、心が落ち着くこと。
※玉塵抄(1563)九「順レ神精神をやしなうぞ。安心のことぞ」
※
歌舞伎・
蔦紅葉宇都谷峠(文彌殺し)(1856)三幕「『すっぱり思ひきりました』『ええ、それで安心いたしました』」 〔白居易‐得微之到官書、備知通州之事、悵然有感詩〕
② (形動) 心が安らかで心配のないこと。また、そのさま。
③ (あんじん) 仏語。
信仰によって、心が不動の境地に達すること。
浄土教では、特に
阿彌陀仏を信じて疑わないこと。
※大応国師法語(1308頃)「唯此安心安楽の処を伝へて」
※仮名草子・竹斎(1621‐23)上「いかに皆々女房たち。
大事のあんじんをば説き残したるぞ」 〔
景徳伝燈録‐三〕
④ 内心のくふうをすること。
奥義に達するための心づかい。
※
花鏡(1424)万能綰一心事「是は、為手
(して)の秘する所の安心なり」
[語誌](1)儒教の
安心立命の語から出て、
禅僧の
菩提達磨(ぼだいだるま)が
仏教徒として初めて用いた。
(2)中・
近世には連濁形アンジンが広く使われており、「文明本節用集」「
日葡辞書」「
易林本節用集」「
運歩色葉集」は、みなアンジンである。
(3)「安心」と「安堵」は
現代語で意味が類似するが、「安心」には、形容動詞的
用法があるのに対して、「安堵」にはそれがないという違いがあり、また、「安心」は、より持続的な
事態を表現し、「安堵」は、かなり瞬間的な事態を表現する。
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安心 (あんじん)
仏法によって心の安定を得ること。儒教の〈安心立命〉より出た語。各宗派の定める教義や実践法によって信仰を確立すること,あるいはその方途をいう。したがって諸宗によって意味内容を異にする。最も早く安心の語を用いたのは禅宗で,《続高僧伝》巻十六の菩提達磨の伝に,彼が壁観によって仏道と冥合したことに用いた。天台宗では,智顗(ちぎ)が止観を達成して法性(ほつしよう)の理に安住することを表した。善導以後,浄土系諸宗では広くこの語を用い,阿弥陀仏の救いを信じて往生を願う心を表現した。善導は《観無量寿経》の説く三心(至誠心,深心,回向発願心)を往生の正因とし,三心具足の念仏を説いたが,浄土宗(鎮西)では,安心に総・別を立て,往生を願う別安心のほかに,通仏教的な菩提心を総安心とし,西山派では,自力を捨て弥陀の弘願に帰する領解(りようげ)の心を安心とし,真宗では,弥陀をたのむ信の一念の起こるところを安心決定とする。
→異安心
執筆者:薗田 香融
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
普及版 字通
「安心」の読み・字形・画数・意味
【安心】あんしん
心をしずめ、欲望がない。晋・張華〔励志〕詩 心を安んじて恬(てんたう) 志を雲に棲ましむ字通「安」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
安心
あんじん
阿弥陀仏の救済を説く浄土門では,阿弥陀仏の救済を信じ極楽往生を絶えず求める心をいう。これを分類して至誠 (しじょう) 心,深 (じん) 心,回向発願 (えこうほつがん) 心の3種であるという。浄土門以外の,自身の力に依存して悟りを得るとする聖道門 (しょうどうもん) では,自身の心を落ち着かせ,安定することをいう。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
安心
マキノ出版が刊行していた月刊の健康雑誌。ダイエット、美容、健康法などに関する情報を紹介。1983年創刊。2023年7月号より株式会社ブティック社より隔月刊で発行。
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