姓名判断(読み)せいめいはんだん

精選版 日本国語大辞典 「姓名判断」の意味・読み・例文・類語

せいめい‐はんだん【姓名判断】

〘名〙 姓名の画数発音陰陽五行にあてはめて吉凶を占うこと。
東海日日新聞‐明治三五年(1902)六月一日「新式姓名判断 哲理上新見解に基き姓名に依り其人の一生の禍福栄辱を鑑定す」

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デジタル大辞泉 「姓名判断」の意味・読み・例文・類語

せいめい‐はんだん【姓名判断】

姓名の画数などによって、その人の運勢などを判断すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「姓名判断」の意味・わかりやすい解説

姓名判断
せいめいはんだん

姓名によってその人の運勢を判断する方法。その起源は、陰陽五行説を踏まえた中国漢代の相字法にある。日本ではこの影響を受けて花押(かおう)、自署などの書体による判断が行われていたが、中世以降、易の理論、陰陽五行の諸種の法則を駆使した姓名字画相が行われるようになった。今日でも開運の手段として、しばしば改名が行われるのは、姓名が人の運命に支配的な意味をもつと根強く信じられているからである。姓名判断の基準としては次の5種があげられる。(1)字義の吉凶。(2)字画数の組合せ。(3)字画数の奇数偶数の組合せ。(4)字音の組合せ。(5)字画の運数。

(1)字義の吉凶とは「姓名の意義とその読み下(くだ)し」ということである。たとえば「吉田茂」とは吉(よ)い田が繁茂するという意味で、名声が大いにあがる。「吉田松陰」は吉(よ)い田が松の陰にある、というので、日光の恵みに浴することができず、志なかばにして挫折(ざせつ)する運命を暗示。こうして意義と読み下しは姓名の骨子として、その善悪は一生を支配するとされている。

(2)字画数の組合せとは「天地の配置」ということ。姓の頭字を天、名の頭字を地とするが、たとえば、この天地の画数が同一ならば天地同数といって一代の英雄格とする。しかし一般人には不向きで、吉凶両端を示す、というようにみるのである。

(3)字画数の奇数・偶数の組合せとは「陰陽の配置」ということ。これは姓名の画数の奇数を陽、偶数を陰とし、その配合の吉凶をみる。この良否は人の肉体の変化、また両親・妻子など家庭運を支配するとされる。この場合、とくに忌み嫌われるのは全陰・全陽で、病気、災厄にあいやすいとされる。

(4)字音の組合せとは「五気の構成」である。姓名はその字音によって、木火土金水の五気に還元されるが、この五気の組合せによって吉凶を判断する。カキクケコは牙(が)音で木の性、タチツテト・ナニヌネノ・ラリルレロは舌音で火の性、アイウエオ・ヤイユエヨ・ワヰウヱヲは喉(こう)音に属し土の性、サシスセソは歯音に属し金の性、ハヒフヘホ・マミムメモは唇音に属し水の性である。以下はその15の組合せにおける判断例である。

 水=火 勇気と活動力があるが、粗暴。

 金=火 熱心、勇気、活動、剛直である。

 水=木 温厚で才略あり。活動力に欠ける。

 金=水 才能、才略、活動力に富む。疑心がある。

 木=火 理性に富むが、疑心深く短気

 火=土 温厚で慈善心あり。活動力を欠く。

 土=木 温厚で慈愛に富む。

 土=金 温厚で活動力少。怜悧(れいり)である。

 土=水 愛嬌(あいきょう)があり沈着。意地の悪いところもある。

 金=木 正直、義侠(ぎきょう)心、活動力に富む。

 火=火 剛気で不屈。気性が粗い。

 水=水 外面沈着。内心に疑心、嫉妬(しっと)あり。

 木=木 剛気才略。内心つねに穏やかならず。

 土=土 外面沈着。疑心気弱で消極的。

 金=金 外面温厚。内面は正直、闘争心がある。

(5)字画の運数とは「姓名の字画の数の吉凶」ということ。つまり姓名の文字を数に還元して吉凶を判断する。

 以上の5要素をもとに姓名の吉凶をみるのであるが、次にその一例を示す。


 字画数を図のように、天格(姓の画数の合数)、人格(姓の下字と名の上字の合数)、地格(名の合数)、総格(姓名の総合数)とする。天格は祖先伝来の運命数、人格は中年以降のその人の主運、地格は成人するまでの運をつかさどり、総格は一生を通しての全体的な運を示すものとする。姓の上の字と、名の下字をあわせたものが外格であるが、外格は人格の主運に対して補運ともいうべきものであり、その人の環境を示す。

 さて「大隈重信(おおくましげのぶ)」の姓名であるが、この画数の示すところによれば、少年期は公明正大で正義感が強く、敵をつくりやすい。中年期以後は、何事も自分の意志どおりに行動して他人の意見をいれない独立独歩の運。晩年および全体では、他に施し恵むところから頭領として尊敬を受ける運、ということになる。五気の配合は土木、金火となるが、これは温厚、慈愛、勇気、剛直を示して吉、また陰陽の配置も健康暗示で吉、というように判断される。

[吉野裕子]

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改訂新版 世界大百科事典 「姓名判断」の意味・わかりやすい解説

姓名判断 (せいめいはんだん)

姓名が,人間の先天的ないしは後天的運気と密接なかかわりをもつという考えから,姓名を調べてその人の運命,吉凶を判断し,運勢を占うことをいう。中国の陰陽五行説や易学の考えから生まれた。漢代の相字の法,すなわち文字を分解して書いた人の吉凶禍福を判断する〈破字〉または〈拆字〉の法が,日本に取り入れられたとされる。日本では,初めは文字の音声,字義の判断に使用され,陰陽道で盛んに行われ,平安時代には花押(かおう)を相する花押相法,鎌倉時代には字画を相する姓名字画相が流行した。今日でも新生児の命名や改姓,改名にあたって,姓名判断が用いられることが多い。共同事業をする場合,吉名と凶名の人の組合せはうまくいかないとか,姓と名の調和,とくに運気の宿る画数を重視して,陰陽の配列を考えて命名するといったようなことがある。判断の中核は画数にあり,天格(姓の画数),人格(姓の下の字と名の上の字の画数),地格(名の画数),外格(姓の上の字と名の下の字の画数),総格(総画数)と称される五格の組合せによって,運勢が明らかにされる。九星と姓名が関連づけられることも多く,人間の運命と天体の運行に相関関係を見いだす考え方が,その根底にある。
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百科事典マイペディア 「姓名判断」の意味・わかりやすい解説

姓名判断【せいめいはんだん】

運勢判断の一つ。陰陽五行説による古代中国の相字の法より起こる。日本では平安中期ころから花押(かおう)の判断が行われていたが,鎌倉時代から苗字(みょうじ)の画数で判断するようになった。現在では画数,音訓などで判断する方法があり,新生児の命名,改姓・改名などに応用されている。

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占い用語集 「姓名判断」の解説

姓名判断

名前からその人の運命を診断する方法。日本で姓名判断が盛んになったのは、庶民が姓を名乗ることを許されるようになった明治3年以降のことなので、比較的歴史が新しいものといえる。姓名判断にはいろいろな流派があり、それぞれ画数の取り方や判断方法が異なる。

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