塑性
そせい
plasticity
可塑性ともいう。固体が弾性限度 (→比例限度 ) をこえた大きい力を受けて変形するとき,力を除いてもその変形がもとに戻らないで残ってしまう性質。この変形を塑性変形または永久変形という。特に,金属などを引伸ばして針金にするときの塑性を延性,たたき広げて箔にするときの塑性を展性という。塑性変形は力が弾性限度をこえれば生じるが,降伏点をこえればさらに著しい。塑性は温度によってかなりの影響を受ける。粘土のように降伏点の応力が小さいものは塑性変形しやすく,塑性体と呼ばれる。樹脂のような高分子物質も塑性体で,熱や圧力を加えて塑性変形させて成形することができる合成樹脂を一般にプラスチックと呼ぶ。
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塑性
破壊することなしに永久変形する物質の性質.塑性的な固体が歪んだ状態からの回復は部分的である.このように形成された永久変形は永久歪(permanent set)ともいう.永久歪を起こすために必要な応力は弾性限界と呼ばれ,この限界を超えて歪んだ物体は流れを起こし,応力が減少して限界以下になるまで流れる.弾性限界がゼロの場合は,永久歪は加わる剪断応力に比例する速度となる[Milch : 1911, Adams & Bancroft : 1917, Jeffreys : 1916].ギリシャ語のplasseinは形作る意味.
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塑性【そせい】
可塑性とも。適当な条件におかれた固体物質は,外力に対して破壊を起こさず連続的に形が変わり力をとり去ってもその変形が永久に保たれるが,このような性質を塑性という(また,このような変形を塑性変形という)。弾性に対する。一般に温度が高いと塑性は大きくなる。有機高分子化合物は特に塑性が大きいためプラスチック(塑性的)と呼ばれる。→塑性加工
→関連項目固体|弾性限度|展性
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そ‐せい【塑性】
〘名〙 物体に外力を加えて変形させ、その外力が除かれても物体に変形がそのまま残る
特性をいう。可塑性。
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そせい【塑性 plasticity】
固体物質に外から力を加えると変形する。力が小さいときは,力を0に戻すと変形も元に戻る(このような変形を弾性変形という)が,力が大きくなると,力を0に戻しても変形は元に戻らないで永久的な変形が残る。後者の変形を塑性変形と呼び,固体のこのような性質を塑性と呼ぶ。力を0に戻しても永久的な変形が残るのは,力を大きく加えたときに,原子どうしのつながり方のつなぎ替えが起きて,新しい安定な原子配置に変わったことによる。
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デジタル大辞泉
「塑性」の意味・読み・例文・類語
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世界大百科事典内の塑性の言及
【レオロジー】より
…レオロジーということばとその定義は1929年にアメリカでこの分野の学会が創立された際,アメリカの化学者ビンガムEugene Cook Bingham(1878‐1945)が初めて与えたもので,流れを意味するギリシア語のrheosに由来している。物質に力を加えたときに起こる変形および流動を取り扱う科学の分科としては,他に弾性論,塑性学,流体力学などがあるが,レオロジーで取り扱う変形は,上記の各分科で取り扱う比較的単純な変形が組み合わされた形の,より複雑な変形が主体となっている。さらに,物質に加える力と時間,および変形との関係を明確に記述することだけでなく,そうした現象の起こる理由,すなわち物質の分子構造あるいは集合体としての構造と変形との関係を明らかにすることをも目的としている。…
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