土鍋(読み)ドナベ

デジタル大辞泉 「土鍋」の意味・読み・例文・類語

ど‐なべ【土鍋】

土製の鍋。熱を長く保つので、鍋焼きうどん湯豆腐などの鍋料理に用いる。
[類語]平鍋手鍋揚げ鍋中華鍋焙烙ほうろくパンフライパン

つち‐なべ【土鍋】

素焼きの鍋。どなべ。

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精選版 日本国語大辞典 「土鍋」の意味・読み・例文・類語

ど‐なべ【土鍋】

〘名〙 土製の鍋。また、その形をしたもの。直火(じかび)にかけて使用し、湯豆腐、ちり、雑炊、鍋焼きうどん、柳川鍋などに用いる。つちなべ。
※俳諧・武玉川(1750‐76)一六「土鍋の尻のわれる留守事

つち‐なべ【土鍋】

〘名〙 土焼きの鍋。どなべ。〔書陵部本名義抄(1081頃)〕
※浮世草子・近代艷隠者(1686)四「竈に土鍋(ツチナベ)掛て外には器物とても見へず」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「土鍋」の意味・わかりやすい解説

土鍋
どなべ

陶土をこねて焼いた素焼の鍋。今日では、身の部分のみ素焼で、蓋(ふた)には釉薬(うわぐすり)をかけたものも多い。代表的なものは京都府の清水(きよみず)焼、三重県の伊賀(いが)焼などである。土鍋は他の鍋に比べて重く、壊れやすいのが特徴である。一方、材質に厚みがあるため、熱は伝わりにくいが、熱の当たりがやわらかいだけでなく、一度温まると蓄熱が大きいので、保温の長くなる利点がある。したがって土鍋は、おでん、粥(かゆ)など、ゆっくりと煮たい料理や、湯豆腐や魚すきなど卓上で煮ながら食べるものの鍋に適している。土鍋は鍋の生地(きじ)の目が粗いほど割れにくいといわれるが、これは火にかけて加熱したとき、膨張の余裕があるためと説明されている。

 土鍋を使用するときは、水で洗ったあと、外側についた水分はかならずふき取ること。水分をつけたまま強火にかけると、ひび割れることがある。ひび割れて水漏れのあるときは、粥とか糊(のり)のような粘りのあるものを炊くとよい。粘りが接着剤の役目をして、多少のひび割れなら目が詰まるからである。また、土鍋を熱いままの状態で、急に冷たい所やぬれた所に置くと、ひび割れの原因になる。

 最近は、耐熱陶土を使用した、耐久性のよい土鍋も多く出回っている。

河野友美

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食器・調理器具がわかる辞典 「土鍋」の解説

どなべ【土鍋】

土製の鍋。元来は素焼きの鍋をいったが、こんにちでは普通、底が浅く、ふたのついた厚手の陶器製の両手鍋をいう。保温力が高く、鍋料理や鍋焼きうどんなどに用いる。直火(じかび)で用いるが、近年はIH(電磁誘導加熱)に対応するものも工夫されている。

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