す‐やき【素焼】
〘名〙
① 成型した素地(きじ)を十分に乾燥させ、釉(うわぐすり)をかける前に低温で焼いたもの。土器、炻器(せっき)のように焼き締められた完成品と、製作過程の一つとして、本焼する前段階として行なった未完成品とがある。しらやき。
※浄瑠璃・生玉心中(1715か)中「きはは素焼(スヤキ)の明徳利」
② 魚や肉などを何も付けずに焼くこと。白焼(しらやき)。
※我羊独語(1929)〈品川義介〉天然林の中で「手抦話に耳を傾けつつ皮を剥ぎ肉は寮に買ひて素焼(スヤ)きとなす」
③ 虚無僧(こむそう)をののしっていうことば。
※歌舞伎・傾城青陽𪆐(1794)三「やい
素焼きめ〈略〉その訳聞かう、虚無僧め」
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素焼
すやき
unglazed pottery; biscuit
自然乾燥されたあとの素地に含まれた水分を除去するため,無釉のまま焼いた陶器や磁器。素焼はたいてい陶磁器の製作過程で施釉と描画する本焼の前段階として焼かれるものであるが,素焼のままの状態で終る場合もある。磁器の場合にはそれぞれをビスケットといい,陶製人形などはテラコッタ,陶器の場合は単に素焼という。焼成温度は 600℃ぐらいの低温から 1250℃の高温まで,素材によって異なる。
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デジタル大辞泉
「素焼」の意味・読み・例文・類語
す‐やき【素焼(き)】
1 陶磁器を釉を施して本焼きする前段階として、成形・乾燥を終えた生素地のものを低温で焼くこと。
2 釉を施さずに焼いた陶磁器。白焼き。「素焼きの祭器」
3 魚肉などを、何もつけずそのまま焼くこと。白焼き。
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素焼【すやき】
陶磁器焼成の一工程。原土を成形・乾燥して窯に入れ,600〜800℃で焼成する工程をいう。この後,締焼,本焼などにより完成する。一般に本焼をしていない器物を素焼と称することが多い。
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