〘自ラ五(四)〙
① やわらかいものや液状、粒状のものが、かたくなる。凝固する。
※書紀(720)神代上(水戸本訓)「精(くは)しく妙(たへ)なるが合(あ)へるは搏(あふ)ぎ易(やす)く、重(かさ)なり濁(にご)れるが凝(こ)りたるは場(カタマリ)難(かた)し」
※古今(905‐914)雑体・一〇〇五「あられ乱れて 霜こほり いやかたまれる 庭のおもに〈
凡河内躬恒〉」
② 物事の状態、基礎、また、意見、決意などが確実なものになる。しっかりと定まる。固定する。安定する。
※栄花(1028‐92頃)楚王の夢「春宮とかたまりて皆おはしましつればこそ、いかがと見奉れ」
※浮世草子・
傾城禁短気(1711)一「是は太夫さま、御一生のかたまる時節、いそいそ遊ばせ」
③ 緊張してかたくなる。けおされて小さくなる。
※
梁塵秘抄口伝集(12C後)一〇「今様あらばや、只今面白かりなんかし、と勧むれば、かたまり居たり」
④ 考え方などが固定して融通がきかなくなる。ある状態から簡単に変われなくなる。
※開化問答(1874‐75)〈小川為治〉初「他の偏屈に凝結(カタマッ)て居る人より幾等の徳を得るかしれません」
⑤ 一つの物事に熱中して、他を顧みなくなる。一つの事を深く信じる。こりかたまる。
※史記抄(1477)一一「儒家の一辺にかたまりて、ちいさい見を破ぶらうとて云ぞ」
⑥ 一つにまとまる。一か所に集まる。また、大勢が団結する。
※平家(13C前)五「おほくの髑髏(どくろ)どもが、ひとつにかたまりあひ、坪の内にはばかる程になって」
※坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉三「隅の方に三人かたまって、何かつるつる、ちゅちゅ食ってた連中が」