回天(読み)カイテン

デジタル大辞泉 「回天」の意味・読み・例文・類語

かい‐てん〔クワイ‐〕【回天】

《天をめぐらす意》時勢を一変させること。衰えた勢いを盛り返すこと。
「其―の素志を貫く勇気を維持し得たというじゃあないか」〈逍遥当世書生気質
日本海軍が第二次大戦中に用いた、人間が操縦する魚雷の名。
[類語]蘇生復活起死回生再生更生回復蘇る生き返る再興中興復興復旧復元還元復調復帰カムバックリバイバル再起返り咲く息を吹き返す

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精選版 日本国語大辞典 「回天」の意味・読み・例文・類語

かい‐てん クヮイ‥【回天】

〘名〙
① (天をめぐらすの意) 時勢を一変すること。衰えた勢いを盛り返すこと。
正法眼蔵(1231‐53)菩提薩埵四摂法「愛語よく廻天のちからあることを学すべきなり」
太平記(14C後)三「天下の機を呑で、回(クヮイ)天の力を出さんと思へる者共なれば」 〔後漢書‐宦者伝〕
② 第二次世界大戦で、旧日本海軍が考案使用した、特殊潜航艇に含まれない、人間の操縦する魚雷。一人乗りで爆薬を積み、敵艦に体当たりする。
桜島(1946)〈梅崎春生〉「回天や震洋艇の修理のために派遣されるのだと言う」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「回天」の意味・わかりやすい解説

回天
かいてん

太平洋戦争中の旧日本海軍の特攻兵器。「人間魚雷」と呼ばれた。九三式魚雷を改造して操縦席を取付け,搭乗員1人が乗った。大型潜水艦甲板に搭載され,目標近くから発進,目標に体当りし,搭乗員ごと爆発した。戦争中 148基が出撃し,116人の海軍軍人が搭乗して戦死したが,アメリカ側発表では油槽船輸送船,駆逐艦各1隻を沈めただけであった。全長 14.8m,水中排水量 8.3t,最高速力 30kn,水中航続距離 12knで 78km,炸薬量 1550kg。 (→特攻隊 )  

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百科事典マイペディア 「回天」の意味・わかりやすい解説

回天【かいてん】

旧日本海軍の水中特攻兵器,いわゆる〈人間魚雷〉。炸薬(さくやく)1.6tをもつ酸素魚雷に乗員室,潜望鏡などを設けたもの。潜水艦に4〜6基載せ,1基に1名乗り組み接敵後発進,体当りする。1944年完成,太平洋戦争末期に実戦に使用。→神風特別攻撃隊
→関連項目特殊潜航艇

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普及版 字通 「回天」の読み・字形・画数・意味

【回天】かい(くわい)てん

時勢を一変する。〔唐書、張玄素伝〕張の事を論ずる、回天の力り。仁人の言と謂ふべき哉(かな)。

字通「回」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「回天」の解説

回天
かいてん

太平洋戦争末期に日本海軍が使用した特攻兵器。人間魚雷と俗称。特殊潜航艇の要員から熱烈な上申が出て1944年(昭和19)2月に試作を始め,8月から量産(約400基完成。秋から実戦に使用)。魚雷を改造し,長さ約15m,直径1m,爆薬1.5トン。潜水艦から発進し,乗員1人が操縦して敵艦船に体当りする。戦局を一変することを期待して命名された。ウルシー環礁を最初とし,南太平洋の各港湾を攻撃し,硫黄島・沖縄周辺海域にも出撃した。

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世界大百科事典(旧版)内の回天の言及

【特別攻撃隊】より

…11月16日,陸軍特別攻撃隊が編成されて戦闘に加入し,また11月26日には薫空挺隊が,ドラグ飛行場破壊のため輸送機で強行着陸し,玉砕した。 また44年夏ごろから,特攻兵器として,〈回天〉や〈連絡艇〉の大量生産とこれを運用する戦法が逐次具体化されていた。〈回天〉は人間魚雷である。…

【徳山[市]】より

…近年の10年間の人口推移(11.2万から10.8万へ)はやや減少傾向。風光にすぐれた徳山湾を囲む大島半島の太華山(362m)や黒髪島は瀬戸内海国立公園の一部をなし,第2次大戦中特殊潜航艇(人間魚雷〈回天〉)基地のあった大津島には回天記念館がある。【三浦 肇】
[歴史]
 1617年(元和3)毛利輝元は,次男就隆に都濃郡と熊毛郡で3万1400余石を分知した。…

※「回天」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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