精選版 日本国語大辞典 「桜島」の意味・読み・例文・類語
さくら‐じま【桜島】
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鹿児島湾の奥部に位置する火山。鹿児島側から見ると巨大な島となって同湾に浮ぶが、大正三年(一九一四)の大噴火により大隅半島との海峡(瀬戸海峡)が溶岩で埋尽され、現在は大隅半島から丸く湾内に突き出す半島状を呈している。現在、北西半部が桜島町、南東半部が鹿児島市に属する。中世から近世初期には向島(ムカイジマ、ムコウジマ)・向之島(ムカイノシマ、ムコウノシマ)などと史料にみえる。また「続日本紀」天平宝字八年(七六四)一二月是月条にみえる「麑嶋」を桜島のこととする説がある。桜島の名称について、「三国名勝図会」は大隅国に赴任していた桜島忠信の名および同人が詠んだ歌に由来するという説と、島に祀られた五社大明神(現桜島町横山の月読神社)の祭神木花佐久夜姫にちなみ
桜島の山頂は北緯三一度三五分・東経一三〇度三九分付近にあり、
桜島の形成は第四紀(約二万二千年前)の入戸・妻屋火砕流や大隅降下軽石など多量の噴出によってできた姶良カルデラの南縁に、約一万三千年前から新たな火山活動が起こったことに端を発すると考えられている。有史時代に入って最も古い噴火記録は天平宝字八年の噴火である(続日本紀)。文明年間(一四六九―八七)にも噴火があり、文明溶岩の名称も残る。近世では安永八年(一七七九)の噴火が最大で、南岳南側山腹が爆発、続いて北東側山腹が爆発、溶岩流出を伴い、多数の死者を出した。北東側からの溶岩流は海に流入し、
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
鹿児島湾北部,鹿児島市街地の対岸に位置する火山島で,1914年(大正3)の大正噴火で流出した溶岩(大正溶岩)により,大隅半島と陸続きとなった。直径8~10km,面積約80km2。島のほぼ中央には御岳(おたけ)(北岳。1117m),中岳(1060m),南岳(1040m)の主峰が連なり,山麓には溶岩円頂丘の権現山,引ノ平,春田山,軽石丘の鍋山など多数の溶岩流が側火山として分布している。
桜島は姶良(あいら)カルデラの南部に後カルデラ丘として約1万3000年前から活動を始め,まず御岳が形成され,約5000年前から活動の中心は南岳に移った。最古の噴火記録は708年(和銅1)で,以後多数の噴火が記録されている。1955年以降の南岳の山頂噴火は典型的なブルカノ式噴火であり,灼熱(しやくねつ)した固い岩塊が,火山灰,火山礫とともに激しい勢いで噴出されている。しかし過去の大噴火をみると,長い休止期の後,激しい軽石噴火で始まり,火砕流が発生し,最後に溶岩が流出しており,天平噴火(764-766),文明噴火(1471-76),安永噴火(1779),大正噴火はいずれもこうした例にあたるが,昭和噴火(1946)では溶岩は流出したが,軽石の噴出はなかった。大噴火時には軽石や溶岩によって民家が埋積されるなど多大な被害が生じたが,海に流入した溶岩のため陸地は拡大しており,安永噴火時には島の北東海域に4島が出現し,うち新島(燃(もえ)島)には集落が形成された。桜島火山の斜面には多数の浸食谷や沢が発達し,いずれも涸沢(かれさわ)であるが,降雨時には土石流の流路となりはんらんすることが多く,治山工事が繰り返されている。
桜島は行政的には,北西半が鹿児島郡桜島町,南東半は鹿児島市に属していたが,2004年合併により全島が鹿児島市となった。島内の人口(1989)は,桜島町が5459人,鹿児島市側が2446人で,海岸に面した火山扇状地扇端に集落が分布する。緩斜面では,ミカン,ビワなどが栽培されるが,火山灰による被害をうけやすいため,鹿児島市の近郊農業として野菜のビニルハウス栽培も盛んとなっている。火山灰土壌を利用してつくられる桜島ダイコンは,大きいものは重さ40kg以上にもなり,島の特産物として漬物に加工されている。鹿児島港と桜島港(桜島町袴腰)はフェリーで結ばれ,桜島の観光や島から鹿児島市街地への通勤・通学に利用されるほか,薩摩半島と大隅半島を結ぶ交通の要路ともなっている。島全体が霧島屋久国立公園に含まれ,島をめぐる道路も整備され観光客が多い。御岳西麓には,湯之平展望台,京都大学火山観測所(現,京都大学防災研究所火山活動研究センター)があり,南岸の鹿児島市側には古里(ふるさと)温泉がある。
執筆者:小林 哲夫
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[一次遷移primary succession]
火山の溶岩流のように,遷移開始時の基質に種子などの繁殖器官を含めて植物がない場合をいう一次遷移は,次のように進行する。暖温帯の鹿児島県桜島で,噴出年代が異なる溶岩上で調べられた乾性系列の例では,裸の岩石の表面にまず地衣類・蘚苔類が着生してくる。続いて,火山灰の集積した場所や岩石の割れ目に,タマシダ,イタドリなどの乾燥に強い多年生草本が侵入する。…
※「桜島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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