八十八夜
はちじゅうはちや
暦の雑節の一つ。立春から数えて88日目をいい、太陽暦の5月2日ごろにあたる。俗説によると、渋川春海(しぶかわはるみ)(保井春海(やすいはるみ))が貞享(じょうきょう)改暦で暦に載せることにしたといわれているが、1656年(明暦2)以来の伊勢暦(いせごよみ)にすでに記載されている。太陽暦の5月2日ごろといえば、あと数日で暦のうえでは立夏であるが、「八十八夜のわかれ霜」というように、霜の降りることもあり、新芽を出した農作物に大きな被害を与えることがあるところから、農家に注意を促すため暦に記載されるものである。
[渡辺敏夫]
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はちじゅうはち‐や ハチジフ‥【八十八夜】
〘名〙 立春から八八日目の日。陽暦の五月一、二日ごろに当たる。この頃が霜の降りる最後となるので、
忘れ霜、
別れ霜、霜の果
(はて)などといい、これ以後は降霜の心配がないので、農家では
種蒔きの季節とする。米という文字を分けて書くと八十八になるところに、この日が由来するといわれ、農耕上大切な日とされている。《季・春》
※浮世草子・
懐硯(1687)五「折から八十八夜の朝霜旅の草鞋に踏分」
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八十八夜
はちじゅうはちや
立春から数えて 88日目で,現行暦では5月2日頃にあたる。八十八夜を過ぎればもはや晩霜も終りになるので,農家ではこれを種まきや茶摘み,その他の農作業開始の基準としている。日本では明暦3 (1657) 年の暦から記入されるようになった。雑節の一つである。
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八十八夜
立春から数えて88日目の、5月1日〜3日頃を八十八夜〔はちじゅうはちや〕と言います。「夏も近づく八十八夜〜♪」の歌にもあるように、春から夏に移る節目の日です。霜もなく安定した気候で、農作物の種まきに最良の時期です。
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デジタル大辞泉
「八十八夜」の意味・読み・例文・類語
はちじゅうはち‐や〔ハチジフハチ‐〕【八十八夜】
雑節の一。立春から88日目で、5月2日ごろにあたる。このころから農家は種まき・茶摘み・養蚕などに忙しい時期となる。《季 春》「霜なくて曇る―かな/子規」
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はちじゅうはちや【八十八夜】
立春から数えて88日目をいう。太陽暦では5月2日ごろ。〈八十八夜の別れ霜〉などといわれ,この日を目安にして田の苗代を作ったり,畑作物の種まきや野菜の移植をするという所は多い。茶摘みの適期でもある。また漁の目安とする所もあり,瀬戸内では俗に魚島時(うおじまどき)といわれるほど豊漁のつづくころといわれるし,種子島や屋久島ではトビウオ漁開始の時期とされていた。この日が全国各地で農事などの目安にされているとはいえ,東日本では実際の終霜日がそれより遅い所は少なくなく,伝承どおりに八十八夜を基準にして実作業を行っているとは必ずしもいえない。
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世界大百科事典内の八十八夜の言及
【特異日】より
…日本では,もとはこれを異常日といった。日本でも古くから寒の戻り,八十八夜(5月2~3日ころ)の別れ霜など,このような日があることは気づかれていた。表にあげたものは,おもな特異日の例である。…
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