併合(読み)へいごう(英語表記)annexation

日本大百科全書(ニッポニカ) 「併合」の意味・わかりやすい解説

併合
へいごう
annexation

国際法上認められる領域取得の方式の一つで、ある国が他の国との合意によって、領域の全部を譲り受けることをいう。割譲と異なるところは、譲渡国の領域の一部でなく、全部を取得することである。併合により、併合される国は国家としての存在を失って消滅する。この点で征服と同じであるから、併合と征服とをあわせて広義の併合として理解するむきもあるが、征服が実力を用いて一方的に行われるのに対し、併合は合意によるものである点で区別される。しかし、征服は国際法上、国際関係における武力行使禁止の原則の成立に伴い、もはや今日では認められない。併合も、昔から合意に基づくとされながら、実は強制によるものであった例が少なくない。1969年の「条約法に関するウィーン条約」で、武力による威嚇および武力の行使に基づく条約の締結は条約の無効原因とされたので、今後は、併合条約が成立しても、見せかけの合意か真の合意かが、あとで問われなければならない。

[太寿堂鼎・広部和也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉 「併合」の意味・読み・例文・類語

へい‐ごう〔‐ガフ〕【併合】

[名](スル)
いくつかのものを合わせて一つにすること。また、合わさって一つになること。合併。統合。「大手のメーカーが中小の会社を併合する」
国際法上、ある国が他の国の領土の全部または一部を合意によって自国のものとすること。
[類語]合体合同合併連合同盟連盟合一合流合わせる合わす合わさる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版 「併合」の意味・わかりやすい解説

へいごう【併合 annexation】

国際法上,これまで自国に属していない領域を,国家が一方的行為によって自国の領域とすること。他国の領土の全部または一部,あるいは,これまで自国の保護下にあった国の領土の全部または一部に対してなされる。領土の全部が併合されるとき,当然にその国は消滅し,領土は併合した国の領土(または植民地)となる。国民はこれまでの国籍を失い,併合国の国籍を取得する。被併合国の条約上の権利義務については,併合される土地そのものに付着する負担は継承されるが,それ以外は併合により消滅するというのが通説である。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

普及版 字通 「併合」の読み・字形・画数・意味

【併合】へいごう

合併する。

字通「併」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「併合」の解説

併合

マージ」のページをご覧ください。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

世界大百科事典内の併合の言及

【割譲】より

…国家間の合意による領土の一部の移転。これに対し,領土の全部の移転を併合といい,両者をあわせて譲渡という。合意は,通常の場合条約を結ぶことにより表現される。…

※「併合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

ワールド・ベースボール・クラシック

メジャーリーグ機構、メジャーリーグ選手会が音頭をとってスタートした野球の世界一決定戦。2006年の第1回は16カ国が参加。4組に分かれて1次リーグを行い、各上位2カ国が米国に移って2リーグの2次予選、...

ワールド・ベースボール・クラシックの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android