中途解約金条項(読み)ちゅうとかいやくきんじょうこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中途解約金条項」の意味・わかりやすい解説

中途解約金条項
ちゅうとかいやくきんじょうこう

2年単位の継続利用を条件とする割安の携帯電話契約において、期間満了前や契約更新月以外の解約については解約金を支払わねばならないとする契約条項。このような割引プランは、基本使用料を半額程度に割り引くかわりに、2年間の継続利用を条件としており、その契約は自動的に更新される。解約を希望する場合は決められた解約金を支払うか、契約期間満了後、1か月以内に申し出る必要がある。そのタイミングを逃すと自動更新が続き、事実上の半永久的な契約ともなりかねない。

 2006年(平成18)に携帯電話事業者を変えても同じ電話番号が使える番号ポータビリティ制度が導入された際、契約者の継続的な利用によってメリットが得られるプランとして導入された。NTTドコモの「タイプXiにねん」、KDDIau)の「誰でも割」、ソフトバンク「ホワイトプラン」などがこれにあたり、中途解約すると、いずれの事業者も9975円の解約金を課している。

 2012年には、京都市の消費者団体が「利用者を囲い込み、不当に解約を制限している」とし、上記3社の携帯電話事業者を相手に、解約金条項の使用差し止めを求め、提訴した。京都地裁の判決ではNTTドコモとソフトバンクについては、解約金は妥当な額で適法と判断されたが、KDDI(au)の訴訟では、一部条項を無効とし、条項の使用差し止めが命じられた。すべての裁判控訴審が行われており、そのうち、NTTドコモの控訴審で大阪高裁は、解約金条項は適法という京都地裁の判決を支持した。また、KDDI(au)の控訴審でも大阪高裁は適法と判断し、KDDI(au)が勝訴した。

 従来の定期契約において解約金の支払いは当然とされてきた経緯がある。だが、控訴審の判断次第では、携帯電話の中途解約金条項が見直されることもあり得る。

[編集部]

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