au(読み)えーゆー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「au」の意味・わかりやすい解説

au
えーゆー

KDDI株式会社およびKDDIグループの沖縄セルラー電話株式会社によって展開されている携帯電話サービスの統一ブランド名。「au by KDDI」とも表記する。「au」は、移動体通信事業の方向性を象徴するキーワードAccess、Always、Amenityなどの頭文字「A」と、Unique、Universal、Userなどの頭文字「U」から構成された造語である。

 1985年(昭和60)の通信自由化により、1989年(平成1)5月に日本移動通信(IDO(イドー))が携帯電話「ハンディフォン」としてNTT方式(ハイキャップHiCAP)サービスを開始した(1999年3月末に廃止)。ハイキャップは、日本国内のみで使用されていたFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)-FDMA(Frequency-Division Multiple Access:周波数分割多元接続)を用いたアナログ携帯電話システムである。同年7月には第二電電(DDI)が関西セルラー電話としてTACS(タックス)(Total Access Communication System)方式のサービスを開始した。2社における通信方式が異なることで、IDOのサービス対象地域である関東・東海・甲信越とその他の地域間での利用が困難なため、1991年10月にIDOがTACS方式のサービスを開始、1992年12月にはDDI・IDOによるTACS方式の全国ローミング・相互接続が開始された。

 2000年10月にDDI、KDD、IDOの3社が合併しKDDIが発足。同年7月にDDI・IDOの全国統一の移動体通信ブランドとして「au」を開始、同年11月には旧DDI・セルラーグループ7社(沖縄を除く)が合併して、KDDIの100%子会社の株式会社エーユーが設立された。この時点でauブランドをもつ組織は「KDDI au事業部」と「株式会社エーユー」の二つが存在していたが、その後、KDDIが2001年10月に株式会社エーユーを吸収合併して、現在の体制となっている。

 1999年4月、DDI・IDO(KDDI)はCDMA方式(Code Division Multiple Access、符号分割多元接続方式)を用いたデジタル携帯電話システム「cdmaOne(シーディーエムエーワン)」の全国でのシームレスな(切れ目のない)ネットワークを完成、携帯電話からのインターネット接続サービス「EZweb(イージーウェブ)」が開始された。その後、2002年4月にサービスを開始した第3世代携帯電話「CDMA 1x(CDMA2000 1x方式)」が好調な伸びを示し、2003年11月にスタートした高速データ通信が可能な「CDMA 1X WIN(CDMA2000 1x EV-DO方式)」とオリジナリティのあるデザイン携帯、「EZweb」データ通信の定額制や、楽曲をダウンロードできる「着うた」「着うたフル」など、デザインだけにとどまらず、若者のライフスタイルを変革させるサービスを数多く打ち出してきている。スマートフォン全盛の時代になるとAndroid端末を提供する過程で定額料金でコンテンツを楽しめるサービス「ビデオパス(ビデオオンデマンドサービス)」「うたパス(ストリーミング型音楽配信サービス)」「ブックパス(電子書籍ストア)」などをいち早く提供し支持を得ている。また端末故障による保険やケータイコンテンツ提供をセットにした「auスマートパス」など、利用者が加入しやすいサービスを行っている。

 KDDIがauとともに展開していたTu-Ka(ツーカー)(2G:第二世代の通信携帯サービスを行うブランド)のサービスは、もともとはツーカーセルラー、ツーカーホン、デジタルツーカーが行っていた。このうちツーカーセルラーとツーカーホンがKDDIに吸収合併された2005年10月に、Tu-Kaというブランド名もKDDIに引き継がれた。当時の総務省は3Gの参入事業者を全国で3社のみに制限していたため、KDDIは、Tu-Kaをシンプルな端末やサービスに特化することでauとのすみ分けを行い、3Gへの移行も行わなかった。Tu-Kaへの新規加入者の減少と、Tu-Ka加入者のauへの契約変更が増加するなか、KDDIはTu-Kaブランドを廃止しauに一本化する方針を決定、Tu-Kaから同じ電話番号でauに移ることを可能にし、2008年3月サービスを終了した。

 2011年10月、auはiPhone 4Sの販売を開始。2012年9月にはiPhone 5の販売と同時に、新たな通信方式のLTE(Long Term Evolution)対応を行い、端末ライナップに関してもユーザニーズに追従すべく健闘している。KDDIは日本国内において唯一固定通信と移動体通信を一社で行っている会社であり、その特徴を生かした料金体系や通信全体を視野に入れたサービスを提供している。携帯電話加入者3770万、EZweb契約者3028万、資本金1418億万円、売上高3兆6622億円(2013年3月。連結ベース)。

[小林千寿]

『塚本潔著『ドコモとau』(2004・光文社)』

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知恵蔵 「au」の解説

AU

アフリカ連合」のページをご覧ください。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「au」の解説

au

KDDIの運営する携帯電話サービスのブランド名。全国のセルラー電話グループが合併し、2000年からサービスが開始された。EZweb、ムービーメール、着うたなどのサービスがある。

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百科事典マイペディア 「au」の意味・わかりやすい解説

AU【エーユー】

アフリカ連合

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世界大百科事典(旧版)内のauの言及

【天文単位】より

…記号AU。地球の公転軌道の半長径(平均半径)をいい,太陽系の諸天体の位置を記述するのには便利な長さの単位である。…

※「au」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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