ロシア‐トルコ戦争

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ロシア‐トルコ戦争」の解説

ロシア‐トルコ戦争(ロシア‐トルコせんそう)

露土(ろと)戦争ともいう。18世紀から19世紀にかけて数次にわたりロシアトルコを攻撃した戦争。まずピョートル1世アゾフ海を獲得した最初の戦争(1739年終結)ののち,エカチェリーナ2世は1768年に戦争を開始し,74年のキュチュク・カイナルジャ条約で両海峡航行権を獲得し,以後トルコを圧迫する立場に立った。19世紀前半にもバルカン半島をめぐって両国はしばしば戦ったが,世紀の半ばには決定的なクリミア戦争が起こった。このときの戦争は国際化し,孤立したロシアは敗北した。その後1875年,ボスニア・ヘルツェゴヴィナブルガリア反乱が起こり,それを支援する義勇兵の派遣がロシア国内で進められた。そのなかで1877年ロシアはトルコを攻めた。これが一連の戦争の最後のもので,固有名詞としての「ロシア‐トルコ戦争」はこの戦争をさす。ロシア軍は苦戦したが,プレヴナ要塞を長期にわたる包囲戦の末,陥落させ,ついにトルコを屈服させて,78年サン・ステファノ条約調印に至った。これによりトルコはルーマニア,ブルガリアの独立を認めたが,イギリスドイツ干渉で,ベルリン会議結果,ブルガリアは半分だけの独立となるなど,ロシアの戦果は切り下げられた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報