ヨウ・さわ・やわらぐ(漢字)

普及版 字通 の解説


18画

[字音] ヨウ
[字訓] さわ・やわらぐ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(よう)。金文字形は、巛(せん)(水)+宮室の象)+隹(すい)の会意字。古く璧(へきよう)とよばれた聖所である。流した水が壅(ふさ)がれて流れず、沼沢が形成され、渡り鳥がくる。これを祖霊が時を定めて帰来するものとして、池中の島に宮を築いて神殿とした。璧はまるくめぐる。その中央に祀所を設ける。金文に「京辟(はうきやうへきよう)」としてみえるもので、〔詩、大雅、文王有声〕に「鎬京(かうきやう)辟廱」の名がみえる。金文にはその大池に漁して、魚鳥の類を神饌とする記述がある。〔説文四上に「渠(ようきよ)なり」とし、水鳥の名とするが、字の本義としがたい。雍和の意があり、〔大盂鼎〕に「經をす」、〔王鼎(じよおうてい)〕に「用(もつ)て客を(たの)しましめん」という。金文の「璧」は経籍に「辟雍」「辟廱」に作る。

[訓義]
1. 璧、周の聖所、祖、霊台霊沼。
2. さわ、みずうみ、霊沼。
3. 雍(よう)と通じ、やわらぐ。
4. 渠、せきれい
5. 壅(よう)と通じ、ふさがる。

[古辞書の訓]
名義抄渠 ニハクナフリ 〔字鏡集〕 ヤハラグ

[声系]
〔説文〕に声として・癰・廱など六字を収める。〔説文〕に廱を辟廱、渠の意とするが、金文には璧の字を用いる。癰は癰腫(ようしよう)、擁・壅と声義近く、声にその意を含むことがある。

[語系]
・廱・癰、雍・擁・壅iongは同声。幽閉の聖所で壅(ようへい)の意がある。雍和の意は雍と通用の義である。

[熟語]

[下接語]
・西・辟

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報