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ロシアの小説家,詩人。ボロネジの落ちぶれた古い貴族の家に生まれ,さまざまの職業を経験した。古典的なスタイルの叙景詩人として出発,詩集《落葉》(1901)やロングフェローの詩の訳でプーシキン賞を受賞,1909年科学アカデミー名誉会員に選ばれた。チェーホフ,ゴーリキーと知り合ってからその強い影響のもとに散文の道へ進んだ。はじめ〈ズナニエ(知識)〉派に近づき,批判的リアリズムの色彩の濃い中編小説《黒土》(1904),《村》(1910),《乾いた谷間》(1911)などで貴族世界の崩壊と農村の荒廃を徹頭徹尾悲観的な調子で描いたが,しだいに社会的な主題から遠ざかり,《人生の盃》《兄弟》(ともに1914),《サンフランシスコから来た紳士》(1915)など,死や人生の無意味さという主題を強調した短編を書いた。革命を嫌い,20年フランスへ亡命。その後も《ミーチャの恋》(1925),自伝的長編《アルセーニエフの生涯》(1930)などを書き,20世紀ロシアの最良の散文作家に数えられる。33年ノーベル賞を受賞。その後,ソ連邦・ロシア本国でも高く評価されるようになった。
執筆者:安藤 厚
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…詩の世界でリアリズムを代表するのはN.A.ネクラーソフであり,戯曲では,モスクワの商人社会を中心に1840年代から80年代までロシア社会をリアルに描いたA.N.オストロフスキー(《雷雨》1859,《森林》1871など)である。リアリズムの残光を飾る短編作家,劇作家チェーホフは,次代のモダニズムへの移り行きをすでに感じさせ,ゴーリキー,ブーニンらも後にリアリズムに復帰するが,一時期モダニズム的手法に従った。(5)モダニズム 1894年のブリューソフの詩集《ロシア象徴主義者》で口火を切られた象徴主義運動の時代は,ロシア詩の〈銀の時代〉を招来するが,これは文化領域全体にわたるロシア・ルネサンスの始まりであった。…
※「ブーニン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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