シロハラ(英語表記)Turdus pallidus; pale thrush

改訂新版 世界大百科事典 「シロハラ」の意味・わかりやすい解説

シロハラ (白腹)
pale thrush
Turdus pallidus

スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約25cm。雄は頭頸とうけい)部が灰黒色,背はオリーブ褐色で,胸からわきにかけては灰褐色である。雌は雄より全体に淡く,とくにのどが黒っぽくない。アムール地方,沿海州,中国東北部,朝鮮半島で繁殖し,冬季,日本,台湾,中国東部に渡る。日本には冬鳥として10,11月に渡来するが,北海道では春と秋の渡りの時期に通過するだけである。おもに平地から低山帯の森林,低木林,公園の林に生息する。渡りの時期を除いては単独で生活し,地上では両脚をそろえて跳びはねることが多く,落葉やごみをくちばしではらいのけて食物をさがす。また庭先にもやってきて,カキピラカンサの実をよく食べる。警戒時にはキョッキョッと鳴き,飛びたつときにはシーと鳴く。対馬では夏季にも見られるといわれるが,詳しいことはわかっていない。繁殖習性はアカハラクロツグミなどに似ている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロハラ」の意味・わかりやすい解説

シロハラ
Turdus pallidus; pale thrush

スズメ目ツグミ科。全長 24cm。背面は暗オリーブ褐色,喉は暗灰色,腹は白い。ロシア沿海地方,ハバロフスク地方中国東北部と,おそらく朝鮮半島などに繁殖分布し,日本や朝鮮半島,中国南東部で越冬する。日本には広島県対馬に繁殖記録があるが,おもに冬鳥(→渡り鳥)として本州中部以南に多数が渡来する。冬季は山麓や平地の雑木林などに生息し,春先には畑や乾いた水田でもよく見られる。昆虫類やヤスデ類などを主食とするが,種子などもかなり食べる。沖縄で越冬する鳥はタニシの一種をよく食べる。「きょっ,きょっ」と聞こえる声で鳴く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロハラ」の意味・わかりやすい解説

シロハラ
しろはら / 白腹
pale thrush
[学] Turdus pallidus

鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥。いわゆる大形ツグミの1種で、日本では冬鳥である。中央シベリア高原、中国南部、ウスリー地方、朝鮮半島に繁殖分布し、冬は中国南部、インドシナ半島、フィリピン、ボルネオ島まで南下する。全長約24センチメートル。上面は暗褐色で、下面は淡褐色。雌は全体に色が淡い。尾の先端両側に白い三角形の斑(はん)がある。よく茂った暗い林を好み、樹上に巣をかけて4卵を産む。冬は、林の中の地上で採食しているのをみかけることが多い。昆虫などの動物質のほか、ノイバラの実などもとる。

[竹下信雄]


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百科事典マイペディア 「シロハラ」の意味・わかりやすい解説

シロハラ

ヒタキ科の鳥。翼長12cm。背は暗緑褐色で腹面は汚白色。ウスリー,中国東北等に分布。日本には冬鳥として渡来し,全国の低地〜低山の林に見られる。中国山地西部では少数が繁殖する。冬季は単独で生活。薄暗い林の中の地上で木の実,昆虫などを食べる。

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