鬱血(読み)うっけつ

百科事典マイペディア 「鬱血」の意味・わかりやすい解説

鬱血【うっけつ】

静脈の還流障害により,静脈内に血液のたまっている状態。局所的鬱血は,腫瘍(しゅよう)などによる圧迫血栓(けっせん)などの血行障害で起こり,局部は暗青色を呈し(チアノーゼ),温度が下がり,静脈や毛細血管がふくれる。幹部静脈およびその付近に起こる全身的鬱血は,多くは心臓の疾患による機能低下によって起こる。
→関連項目充血心不全僧帽弁閉鎖不全症窒息床ずればち指

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精選版 日本国語大辞典 「鬱血」の意味・読み・例文・類語

うっ‐けつ【鬱血】

〘名〙 組織血管内の一部分に静脈性の血液が多くなった状態。うっ血腎、うっ血肝、うっ血肺など、内臓に起こると特殊な症状を示す。ふつう、その部分は赤紫色にはれる。
※苦力頭の表情(1926)〈里村欣三〉「俺は欝血を一時に切り開いた時のやうな晴々しさを覚えた」

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デジタル大辞泉 「鬱血」の意味・読み・例文・類語

うっ‐けつ【鬱血】

[名](スル)静脈の血液の流れが悪くなって滞留する状態。静脈の一部が強く圧迫されたり、詰まったりして局所的に起こることが多いが、心臓の力が弱まって全身的に起こることもある。
[類語]充血血走る

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世界大百科事典 第2版 「鬱血」の意味・わかりやすい解説

うっけつ【鬱血 congestion】

静脈血が異常に増加した状態で,静脈の狭窄血栓などによる閉塞,外からの圧迫などの通過障害により,静脈血が局所から流出することが妨げられたときにおこる。また心臓の機能が障害され,心臓が血液を押し出したり吸引したりする力が弱まっても鬱血がおこる。鬱血がおこると,静脈血が多いため皮膚粘膜暗紫色または暗青色となり,その部分の温度は下がり冷たくなる。また血液の液体成分が血管外に濾出するため水腫がおこる(これを鬱血性水腫という)。

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