日本大百科全書(ニッポニカ) 「里村欣三」の意味・わかりやすい解説
里村欣三
さとむらきんぞう
(1902―1945)
小説家。岡山県に生まれる。本名前川二享。岡山市の関西中学中退後、職工、人夫などの職業を遍歴。のち入営するが水死を装い脱営、里村欣三の名で満州(中国東北)を放浪。上京後『文芸戦線』に小品やルポルタージュを発表。満州放浪体験に基づく小説『苦力(クーリー)頭の表情』(1926)は代表作となり『文芸戦線』派の中堅作家として活躍。日中戦争後は一特務兵として2年にわたり中国各地を転戦、『第二の人生』正続(1940)などを刊行した。昭和20年戦線にて死去。
[大塚 博]
『『日本現代文学全集69 プロレタリア文学集 里村欣三他』(1969・講談社)』▽『平林たい子著『自伝的交友録 実感的作家論』(1960・文芸春秋新社)』