家庭医学館 「うっ血肝」の解説
うっけつかん【うっ血肝 Congestive Liver】
うっ血性心不全(けつせいしんふぜん)のために心臓への血液のもどりが悪くなり、肝臓(かんぞう)内に血液がうっ滞(たい)する(とどこおる)ため、肝障害をおこす病気です。肝臓は心臓に近いため、心臓にもどる血流が障害されると肝臓内にうっ血が生じやすくなります。
[症状]
心不全症状とともに、初期には肝臓が著しく腫(は)れて痛みがおこります。うっ血が長期間続くと、結合組織が増えて、最終的には肝硬変(かんこうへん)(うっ血性肝硬変(けつせいかんこうへん))となりますが、現在では治療法が進歩したため、肝硬変になることはきわめてまれになりました。重篤(じゅうとく)な肝障害もまれです。
心筋梗塞(しんきんこうそく)や肺梗塞(はいこうそく)によるショック時の急性うっ血肝では、肝細胞が急激な酸素不足となり、急性肝障害をおこします。
[原因]
うっ血性心不全あるいは胸膜炎(きょうまくえん)によって心臓の収縮機能が低下するため、肝臓に血液がたまり、うっ血による圧迫と酸素不足のために肝臓の正常な組織構造がくずれて、肝障害がおこります。
バッド・キアリ症候群(しょうこうぐん)(「バッド・キアリ症候群」)も、うっ血肝をおこします。
[検査と診断]
腹部を超音波検査すると、下大静脈(かだいじょうみゃく)、肝静脈(かんじょうみゃく)の拡張がみられるのが特徴です。
心臓に対しては心電図検査と心超音波検査が行なわれます。
[治療]
原因となる心臓疾患の治療とともに、肝細胞を保護するための肝臓の庇護療法(ひごりょうほう)が行なわれます。