日本大百科全書(ニッポニカ) 「高千穂(町)」の意味・わかりやすい解説
高千穂(町)
たかちほ
宮崎県北部、西臼杵郡(にしうすきぐん)にある町。1920年(大正9)町制施行。1956年(昭和31)田原(たばる)村、岩戸(いわと)村の大部分と合併、さらに1969年上野(かみの)村を編入。『和名抄(わみょうしょう)』には臼杵郡に智保(ちほ)郷名がみえ、荘園(しょうえん)資料では高千尾(たかちお)と記されている。五ヶ瀬川(ごかせがわ)の上流部にあり、九州山地内であるが阿蘇(あそ)溶岩が広く分布、台地面がかなり広い。また、五ヶ瀬川はこの溶岩を侵食して高千穂峡(国指定の名勝・天然記念物)など深い峡谷を形成。国道218号、325号、九州中央自動車道が通る。天孫降臨神話の地で、記紀の二上峯(ふたがみのみね)、高天原(たかまがはら)、天岩戸(あまのいわと)などの地名がある。近世は延岡藩(のべおかはん)領。中心地三田井(みたい)は西臼杵郡の商業・観光の拠点。祖母傾国定公園(そぼかたむきこくていこうえん)に含まれ、天岩戸神社、高千穂神社があり、伝統行事の高千穂の夜神楽(よかぐら)は国指定重要無形民俗文化財。また高千穂神社にある鉄製の狛犬(こまいぬ)は国指定の重要文化財。面積237.54平方キロメートル、人口1万1642(2020)。
[横山淳一]
『『高千穂町史』(1973・高千穂町)』▽『『高千穂町史 郷土史編』(2002・高千穂町)』