騒立(読み)さわぎたつ

精選版 日本国語大辞典 「騒立」の意味・読み・例文・類語

さわぎ‐た・つ【騒立】

[1] 〘自タ四〙
① やかましい音を出しながら立ち去る。さわがしく発(た)つ。
平中(965頃)七「群鳥(むらどり)のさわきたちぬるこなたより雲の空をぞ見つつながむる」
大勢の者が蜂起する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ (「たつ」は接尾語) さわぎはじめる。また、さかんにさわぐ。
落窪(10C後)二「車の人々さわきたちあゆめば、道をふさぎて更にやらねば」
④ (「たつ」は接尾語) 気持が落ち着きを失いはじめる。不安になってくる。
※夜の寝覚(1045‐68頃)五「をさをさ起きあがりなどもし給はぬをいかにおはせんと心地もさわぎたち給て」
[2] 〘自タ下二〙 ⇒さわぎたてる(騒立)

さわ‐だ・つ【騒立】

〘自タ四〙
① やかましく飛び立つ。
※俳諧・芭蕉一周忌(1695)「吹揚らるる春の雪花 かへる鴨かへらぬ鴨もさはたちて〈嵐雪〉」
② (「だつ」は接尾語) ざわざわと音をたてる。ざわつく。さわぎたつ。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉一〇「瀑布に近く水流の騒立つ様に」
③ (「だつ」は接尾語) さわぎはじめる。また、さわぐ。
歌舞伎有松染相撲浴衣(有馬猫騒動)(1880)四幕「臣下騒立(サワダ)つ其時は遂には天下の大乱にならん事も計られず」
④ (「だつ」は接尾語) 感情が動揺する。いらだち興奮する。
和英語林集成初版)(1867)「ジンキガ sawadatsz(サワダツ)

さわぎ‐た・てる【騒立】

〘自タ下一〙 さわぎた・つ 〘自タ下二〙 騒々しくする。また、ことさらにうるさく言う。〔羅葡日辞書(1595)〕
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「大福餠から、ゆで鶏卵(たまご)。お芋のお田。なんでも通るものを買うと云出して騒立(サワギタテ)るだ」

さ‐だ・つ【騒立】

〘自タ四〙 (動詞さわだつ」の変化した語か) 騒ぎ立つ。さわがしくなる。ごたごたする。
※玉塵抄(1563)二九「座敷がさたったぞ」

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