飯山(市)(読み)いいやま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「飯山(市)」の意味・わかりやすい解説

飯山(市)
いいやま

長野県の北部、千曲川(ちくまがわ)下流にある市。1954年(昭和29)飯山町と秋津(あきつ)、柳原(やなぎはら)、外様(とざま)、常盤(ときわ)、瑞穂(みずほ)、木島の6村が合併し市制施行。1956年太田、岡山の2村を編入。付近一帯は小盆地をなし、冬期は豪雪地となる。県の北端に近く、奥信濃(しなの)ともよばれる。北陸新幹線、JR飯山線、国道117号、292号が通じる。1564年(永禄7)ごろ上杉謙信(けんしん)の築造になる飯山城の城下町として形成されたが、交通が不便で積雪地のため、市勢は停滞気味である。江戸初期までは交通の表街道(飯山街道)で越後(えちご)(新潟県)との交流が盛んであったが、以後は主要街道から外れてしまった。江戸時代は飯山藩の城下町でもある。市街地は小高い丘上の飯山城跡を中心に城下町当時のようすが残り、寺町、町人町、武家屋敷はいまはそれぞれ仏壇の町や、商店街、官公庁地区になっている。代表的産業としては仏壇や和紙がある。道路には消雪パイプが埋設されていて雪国らしい。城跡は4月下旬ころサクラの名所としてにぎわう。臨済宗中興の祖といわれる白隠(はくいん)禅師が修行した正受庵(しょうじゅあん)や島崎藤村(とうそん)の『破戒(はかい)』に出てくる真宗寺室町時代建造になる白山神社など古社寺が多い。北部や西部の山地にはスキー場が開設され、斑尾高原(まだらおこうげん)や戸狩(とかり)は豊富な積雪で冬期はにぎわう。面積202.43平方キロメートル(一部境界未定)、人口1万9539(2020)。

[小林寛義]

『飯島貴編『飯山史』(1969・飯山図書館)』


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