金蝶饅頭(読み)きんちょうまんじゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金蝶饅頭」の意味・わかりやすい解説

金蝶饅頭
きんちょうまんじゅう

岐阜県大垣市の名物まんじゅうで、酒まんじゅう系に属する。このまんじゅうは、金蝶堂初代の吉田寿江子(すえこ)により1862年(文久2)につくられた。寿江子は彦根藩奥勤めをしていたが、井伊直弼(いいなおすけ)の暗殺を機に宿下がりをして釘(くぎ)職人と結婚、大垣に移った。諸国行商の夫の留守中、寿江子は茶店を開いていたが、大垣藩の家老小原二兵衛鉄心に見込まれ、密偵として彦根、長浜、京都の動静を探索することになった。奥勤め中に覚えた麹(こうじ)まんじゅうを商いながら、寿江子は鉄心の秘命を果たし、大垣に戻って薄皮の酒まんじゅう屋を開いた。鉄心はその功を賞し、黄金造り揚羽蝶(あげはちょう)のかんざしを贈った。金蝶饅頭の名はこの贈り物による。

[沢 史生

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「金蝶饅頭」の解説

金蝶饅頭

岐阜県大垣市、金蝶堂総本店が製造・販売する銘菓。こし餡を酒種の薄皮で包んだ饅頭。

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