近頃・近比(読み)ちかごろ

精選版 日本国語大辞典 「近頃・近比」の意味・読み・例文・類語

ちか‐ごろ【近頃・近比】

[1] 〘名〙 近いころ。このごろ。最近。明瞭な時期の区分意識なしに、現在からあまりへだたらない過去の時期を漠然とさして用いる。
※六百番歌合(1193頃)春上・一一番「此眺めかなといふ詞の近比見え侍る、未甘心覚え侍る」
[2] 〘副〙 このごろになく。最近になく。善悪にかかわらず程度のはなはだしいさまを表わす語。はなはだ。非常に。たいへん。
※申楽談儀(1430)猿楽の諸座「今の岩童祖父(をうぢ)下坂と云名字を除きて、日吉(ひえ)と号す。近比、山よりの下知といへ共、無念なること也」
※虎明本狂言・薬水(室町末‐近世初)「近比めでたひ、さらばいそひで祖父ごへまいらふ」
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)初「しかし御ちそうになっては、ちかごろきのどくだ」
[3] 〘形動〙
① 大変結構だ、非常に立派だ、などの意を表わす。
※謡曲・葵上(1435頃)「それは近頃にてござ候ふ。かうかうござ候へ」
② ①と反対に、はなはだしく悪いさま、もってのほかのこと、などの意を表わす。
浄瑠璃・本朝用文章(1698頃)一「ヤイ石見守、近比なる雑言

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